北海道で助産師に転職する方法。周産期母子医療センター体制と道立病院局・市立札幌病院の採用選考
「北海道で助産師として転職したいけれど、道立病院・市立病院・大学病院で採用の仕組みがどう違うのか分からない」「札幌とそれ以外の地域では求人事情が違うの?」——北海道は札幌大都市圏から道北・道東の広大な地方部までを含み、周産期医療を担う医療機関が複数の医療圏域に分散しているのが特徴です。この記事では、北海道で助産師として働く際の主な選択肢、北海道道立病院局の通年募集や市立札幌病院の採用選考の仕組み、給料相場を一次情報とあわせて解説します。
北海道で助産師として働く主な選択肢
北海道内で助産師資格を活かして働く場合、主に次のような就業先があります。
- 北海道道立病院(道立5病院): 江差病院・子ども総合医療・療育センター(コドモックル)など、北海道道立病院局が運営する病院
- 市立札幌病院(札幌市病院局): 総合周産期母子医療センターを備える札幌市の基幹病院で、札幌市病院局が独自に看護職員採用試験を実施
- 北海道大学病院・札幌医科大学附属病院などの大学病院: 高度医療・教育機能を併せ持つ大学病院の産科・周産母子部門
- 総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センター: 母体・胎児集中治療管理室(MFICU)やNICUを備え、高度な周産期医療を提供する医療機関(後述のとおり総合6か所・地域30か所)
- 一般病院・産科クリニックの産科病棟: 正常分娩を中心に扱う病院・産婦人科クリニック
- 助産院: 助産師が開業し、正常分娩の介助や母乳育児支援、産前産後ケアを行う
- 市町村の母子保健分野: 札幌市・旭川市などの母子保健事業で保健指導を行うケース
ハイリスク分娩に携わりたいのか、正常分娩を中心とした地域のお産に関わりたいのかなど、自分が助産師としてどのような経験を積みたいかを整理したうえで、就業先の種類と勤務エリアを絞り込むとよいでしょう。
北海道道立病院局の採用選考の仕組み
北海道道立病院で働く助産師・看護師は、北海道道立病院局が実施する職員採用選考で採用されます。道立病院局が公表している情報によると、選考の概要は次のような内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象病院 | 江差病院・羽幌病院・緑ヶ丘病院・向陽ヶ丘病院・子ども総合医療・療育センターの道立5病院(道立北見病院は日本赤十字社が運営し別途申込) |
| 助産師の募集病院 | 江差病院・子ども総合医療・療育センター |
| 応募資格 | 既に看護師の資格を取得している、または翌春取得見込みで59歳未満の方 |
| 募集時期 | 通年募集(応募の都度、随時に採用選考を実施) |
| 選考方法 | 作文試験・個別面接 |
| 給与例 | 看護師1年目で月額およそ24万600円〜25万3,100円(令和7年4月1日現在、学歴による差あり) |
道立病院局の助産師採用は、年1回の定期試験ではなく通年で随時実施される仕組みです。ただし、道立5病院には子ども専門の子ども総合医療・療育センターや精神科の緑ヶ丘病院・向陽ヶ丘病院が含まれ、一般的な産科病棟で分娩を数多く扱う環境とは限りません。助産師として分娩や周産期医療に携わりたい場合は、配属先で助産業務がどの程度あるのかを応募前に道立病院局(総務課)へ確認しておくとよいでしょう。

市立札幌病院という選択肢
札幌市内では、市立札幌病院が平成18年(2006年)に総合周産期母子医療センターの指定を受けており、札幌市病院局が独自に正規看護職員(看護師・助産師)の採用試験を実施しています。市立札幌病院が公表した令和8年度採用試験の要項によると、次のような内容でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般の部 | 平成9年4月2日以降生まれ(30歳未満)で、看護師または助産師免許を取得または取得見込みの方 |
| 経験者の部 | 昭和39年4月2日〜平成9年4月1日生まれ(30歳以上)で、採用前に医療機関等での職務経験が5年以上ある方 |
| 受付期間(一例) | 令和8年7月21日〜8月17日 |
| 試験日(一例) | 令和8年8月29日(応募多数の場合は8月31日も実施) |
| 採用予定時期 | 令和9年4月(欠員がある場合は1月採用も検討) |
市立札幌病院の看護職員採用試験は年度内に複数回実施されるため、新卒採用のタイミングを逃した場合でも受験機会があります。募集回・日程は年度によって変わるため、最新の情報は市立札幌病院(総務課)または札幌市病院局の看護職員募集ページで必ず確認してください。
市立札幌病院の総合周産期母子医療センターは、MFICU6床・産科30床・NICU15床・GCU21床を備え、2024年の分娩件数は551件でした。9階東病棟には助産師39名が配置され、助産師外来も運用されています。
このほか、北海道大学病院(産科・周産母子センター)、札幌医科大学附属病院、社会医療法人母恋 天使病院(札幌市東区・地域周産期母子医療センター、NICUを備え母体搬送の受け入れと正常分娩の両方を扱う)なども周産期医療を担う医療機関として知られ、それぞれ独自に看護職員採用を行っています。
周産期母子医療センターは総合6か所・地域30か所
小樽市および北海道保健福祉部の公表情報によると、北海道内には総合周産期母子医療センターが6か所あります。うち4か所は国の基準を満たして指定された施設で、産婦人科医師の24時間体制の確保が難しいなどの事情から2か所を北海道が独自に認定しています。地域周産期母子医療センターは北海道が30施設を認定しています。指定・認定施設は道央・道南・道北・道東などの周産期医療圏(北海道の三次医療圏は6圏域)に分散しています。
総合周産期母子医療センターは、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)を含む産科病棟と新生児集中治療管理室(NICU)を備え、24時間体制で母体・新生児搬送を受け入れる医療機関です。北海道では総合病院釧路赤十字病院が平成15年に道内で最も早く指定を受けており、市立札幌病院・函館中央病院・JA北海道厚生連帯広厚生病院なども含まれます。地域周産期母子医療センターは産科・新生児科を備えて比較的高度な周産期医療を常時提供する医療機関で、北海道社会事業協会小樽病院(後志)やJCHO北海道病院(札幌)などが認定されています。
指定・認定施設が広い北海道の各医療圏域に分かれていることは、ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい助産師にとって、札幌圏だけでなく道内各地で周産期医療に携わる選択肢があることを意味します。一方で、地方部では産科を扱う医療機関の集約が進んでおり、勤務地によっては通勤・転居の負担が大きくなる点にも留意が必要です。
看護職員養成確保修学資金
助産師学校・助産師養成所に在学中の場合、北海道には北海道看護職員養成確保修学資金の貸付制度があります。免許取得後に道内の指定施設で一定期間就業すると返還が免除される仕組みです。対象職種の範囲や貸付月額・返還免除の要件は年度・区分によって異なり、道の「修学資金貸付の手引」で定められているため、詳細は北海道保健福祉部地域医療推進局医務薬務課(看護政策係)へ確認してください。
このほか、江差町など道内の一部市町村では、助産師・看護師などを対象とした独自の修学資金貸付制度を設けている場合があります。就職を希望する地域が決まっている場合は、市町村の制度もあわせて確認しておくとよいでしょう。すでに助産師資格を持って転職する場合はこれらの在学者向け制度は対象外です。
給料相場
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」に掲載された令和7年賃金構造基本統計調査によると、助産師全体(全国)の平均年収は566万7,000円(平均年齢41.2歳)、月収は38.9万円、賞与は98.8万円です。有効求人倍率は1.25倍(令和7年度、ハローワーク求人統計データ)となっています。
北海道道立病院や市立札幌病院をはじめとする公的病院では、地方公務員または地方独立行政法人の給与規程に基づく給料表が適用され、経験年数や役職に応じて昇給する仕組みが一般的です。ただし、実際の初任給・年収額は年度・職務経験年数・勤務先によって変動するため、応募時には各採用選考要項に記載の給与条件を必ず確認してください。求人サイトの集計データ(参考情報)では北海道内の助産師求人を月給20万円台後半〜40万円程度とする例も見られますが、これは公務員・民間を問わない集計であり、一次情報ではない点にご留意ください。
助産師全体の仕事内容・キャリアパスについては助産師の転職事情を徹底解説!職場の選び方で給与も変わる?、看護職全体の求人動向は看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由、他の道府県の助産師採用については大阪府で助産師に転職する方法もあわせてご覧ください。
転職のメリット・デメリット
メリット
- 総合周産期母子医療センター6か所・地域周産期母子医療センター30か所が道内の各医療圏域に分散しており、札幌圏から道北・道東まで周産期医療に携わる職場の選択肢がある
- 市立札幌病院のように総合周産期母子医療センターを備える公的病院があり、MFICU・NICUを含むハイリスク症例を経験したい助産師に適した環境がある
- 北海道道立病院局の採用選考は通年で随時実施されるため、新卒採用のタイミングを逃した場合でも応募機会がある
デメリット
- 道立5病院には子ども専門施設や精神科病院が含まれ、分娩を数多く扱う一般産科病棟の配属になるとは限らない
- 地方部では産科を扱う医療機関の集約が進んでおり、勤務地によっては通勤・転居の負担が大きくなりやすい
- 看護職員養成確保修学資金などの学費支援は「これから資格を取得する在学者」が対象で、資格を持って転職する人は利用できない
転職で押さえておきたいポイント
経験を積みたい分野で就業先の種類を選ぶ
ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい場合は総合周産期母子医療センター、正常分娩中心で地域のお産に携わりたい場合は一般病院・産科クリニックや助産院、というように、自分が積みたい経験に応じて就業先の種類を絞り込みましょう。
公的病院の採用選考は募集回と配属先をこまめに確認する
北海道道立病院局は通年募集、市立札幌病院は年度内に複数回の採用試験を実施しています。募集回・日程は年度によって変わるため、公式の採用ページをこまめに確認しましょう。あわせて、配属先で助産業務がどの程度あるのかを事前に確認しておくと、入職後のミスマッチを防げます。
勤務エリアと転居の見通しを事前に確認する
北海道は広く、周産期医療を担う医療機関が各医療圏域に分散しています。公的病院では道内での異動の可能性もあるため、通勤・転居の見通しを事前に確認しておくと安心です。
公務員以外の選択肢もあわせて比較する
公的病院の選考のタイミングが合わない場合や、クリニック・助産院での働き方に関心がある場合は、看護師転職サイトに登録して求人を紹介してもらう方法もあります。就業先ごとに扱う症例・オンコール体制・給与条件は異なるため、複数の求人を比較しながら検討を進めることをおすすめします。
この記事の主な情報源
- 北海道「北海道の周産期医療関連情報」(保健福祉部地域医療推進局地域医療課)
- 小樽市「周産期母子医療センター」(北海道の総合6か所・地域30か所、周産期医療圏の説明)
- 北海道道立病院局「看護師募集について」(通年募集・助産師の募集病院・給与例)
- 市立札幌病院「正規看護職員募集(令和8年度採用試験)」
- 市立札幌病院「総合周産期母子医療センター」(指定年月日・病床数・分娩件数・助産師体制)
- 北海道「看護職員養成確保修学資金の情報」(保健福祉部地域医療推進局医務薬務課)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」助産師(令和7年賃金構造基本統計調査、令和7年度有効求人倍率)
制度・募集要項・指定施設数は年度により変更されるため、最新の情報は北海道・札幌市・各医療機関の公式ページで必ずご確認ください。
よくある質問
Q. 北海道で助産師として道立病院に転職するにはどうすればよいですか?
北海道道立病院局が実施する職員採用選考に応募します。看護師免許(取得見込みを含む)を持つ59歳未満の方が対象で、通年で随時、作文試験と個別面接により選考されます。ただし助産師を募集しているのは江差病院と子ども総合医療・療育センターで、分娩を数多く扱う一般産科病棟の配属になるとは限らないため、配属先の助産業務の内容を事前に道立病院局へ確認することが重要です。
Q. 北海道の周産期母子医療センターはどのくらいありますか?
小樽市・北海道の公表情報によると、総合周産期母子医療センターが6か所(国指定4か所+北海道の独自認定2か所)、地域周産期母子医療センターが30か所認定されています。総合の代表例としては、平成15年に道内で最も早く指定された総合病院釧路赤十字病院や、MFICU6床を備える市立札幌病院などがあります。
Q. 札幌市内で助産師として働くにはどのような選択肢がありますか?
市立札幌病院(総合周産期母子医療センター)のほか、北海道大学病院、札幌医科大学附属病院、天使病院(地域周産期母子医療センター)、民間の総合病院・産婦人科クリニック、助産院などがあります。市立札幌病院は札幌市病院局が年度内に複数回の看護職員採用試験を実施しています。
Q. 北海道には助産師を目指す学生向けの修学資金制度はありますか?
北海道看護職員養成確保修学資金の貸付制度があり、免許取得後に道内の指定施設で一定期間就業すると返還が免除されます。対象職種の範囲や貸付月額は年度・区分によって異なるため、北海道保健福祉部の「修学資金貸付の手引」で確認してください。江差町など一部の市町村も独自の貸付制度を設けています。すでに資格を持って転職する人は対象外です。
まとめ
北海道で助産師として働くには、北海道道立病院、市立札幌病院(札幌市病院局)、大学病院、一般病院・産科クリニック、助産院など幅広い選択肢があります。総合周産期母子医療センター6か所・地域周産期母子医療センター30か所が道央・道南・道北・道東の各医療圏域に分散しているため、札幌圏だけでなく道内各地で周産期医療に携わることができます。北海道道立病院局は通年募集、市立札幌病院は年度内に複数回の採用試験を実施していますが、配属先で助産業務がどの程度あるかは事前確認が欠かせません。公式の募集ページをこまめに確認し、公務員以外の選択肢も含めて看護師転職サイトで求人を比較検討することをおすすめします。