茨城県で助産師に転職する方法。総合周産期母子医療センター2施設(水戸済生会・筑波大学附属病院)と県立病院・市中病院の採用の仕組み
「茨城県で助産師として転職したいけれど、県立病院・大学病院・済生会などの市中病院で採用の仕組みがどう違うのか分からない」「水戸市とつくば市で求人事情は違うの?」——茨城県には政令指定都市がなく、周産期医療は県内をブロックに分けて総合周産期母子医療センター・地域周産期母子医療センター・周産期救急医療協力病院で機能分担する体制がとられています。この記事では、茨城県で助産師として働く際の主な選択肢、茨城県病院局の看護職員採用選考や市中病院の採用の仕組み、給料相場を一次情報とあわせて解説します。
茨城県で助産師として働く主な選択肢
茨城県内で助産師資格を活かして働く場合、主に次のような就業先があります。
- 大学病院(筑波大学附属病院): つくば市にある茨城県内唯一の医学部附属病院で、総合周産期母子医療センターを備える
- 済生会・日赤などの市中の総合病院(水戸済生会総合病院・水戸赤十字病院・総合病院土浦協同病院など): 地域の中核を担う病院で、総合・地域周産期母子医療センターを含む
- 県立病院(茨城県立中央病院): 笠間市にある県立の総合病院で、周産期センターを設置し助産ケアを中心とした分娩を行っている
- 市町村立・公立病院(水戸市民病院・筑波メディカルセンター病院・JAとりで総合医療センターなど): 地域のお産を支える自治体系・公的な病院
- 一般病院・産婦人科クリニック: 正常分娩を中心に扱う病院・産婦人科医院(県内では求人数が最も多い区分)
- 助産院: 助産師が開業し、正常分娩の介助や母乳育児支援、産前産後ケアを行う
- 市町村の母子保健分野: 水戸市・つくば市などの母子保健事業で保健指導を行うケース
ハイリスク分娩に携わりたいのか、正常分娩を中心とした地域のお産に関わりたいのかなど、自分が助産師としてどのような経験を積みたいかを整理したうえで、就業先の種類と勤務エリアを絞り込むとよいでしょう。
総合周産期母子医療センターは水戸市とつくば市の2施設
茨城県では、周産期医療体制を県内のブロックに分けて整備し、最も高度な医療を担う総合周産期母子医療センターが2施設指定されています。
| 施設名 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水戸済生会総合病院 | 水戸市 | 1992年に「茨城県周産期センター」として開設、2005年6月に総合周産期母子医療センターに指定。産科領域を水戸済生会総合病院が、新生児科領域を茨城県立こども病院の新生児科が担当し、協力して運営 |
| 筑波大学附属病院 | つくば市 | 2005年6月に指定。2004年4月にNICUを含む周産期医療センターを開設し、同年7月に母体胎児集中治療室(MFICU)の運用を開始した大学病院 |
このほか、水戸赤十字病院(水戸市、2006年3月に地域周産期母子医療センターに認定)、茨城県立中央病院(笠間市)、総合病院土浦協同病院(土浦市)などが地域周産期母子医療センターとして、比較的高度な周産期医療を提供しています。指定施設の最新の一覧・区分は、茨城県および厚生労働省が公表する周産期母子医療センター一覧で確認してください。
総合周産期母子医療センターが水戸市とつくば市に分かれて配置されていることは、ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい助産師にとって、県央・県南のいずれのエリアでも高度な周産期医療に携わる選択肢があることを意味します。

茨城県病院局の看護職員採用選考の仕組み
茨城県立の病院(茨城県立中央病院・こころの医療センター・こども病院)で働く看護職員は、茨城県(病院局)が知事部局とあわせて実施する看護師採用選考で採用されます。茨城県が公表している令和8年度実施分の案内によると、次のような内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象職種 | 看護師(知事部局・病院局共通の枠組みで募集) |
| 採用予定人数 | 病院局20名程度・知事部局9名程度 |
| 申込期間 | 令和8年8月3日(月)〜8月28日(金) |
| 試験日 | 令和8年9月5日(土) |
| 採用予定日 | 令和8年11月1日以降・令和9年4月1日 |
| 申込方法 | 電子申請 |
**助産師免許を持っていても、採用選考の職種区分は「看護師」**となる点に注意が必要です(静岡県立病院機構など、助産師免許保持者も「看護師」として採用する他県の選考と同様の扱い)。県立で分娩を扱うのは茨城県立中央病院で、こども病院は新生児科(NICU)、こころの医療センターは精神科が中心です。助産師として周産期部門に配属されるか、助産師手当の有無などは、応募前に茨城県病院局経営管理課人事・給与(電話029-301-6516)へ確認しておくとよいでしょう。募集回・日程は年度によって変わるため、最新の情報は茨城県の看護師採用選考案内ページで必ず確認してください。
茨城県立中央病院の周産期センターという選択肢
茨城県立中央病院(笠間市)は周産期センターを設置し、産婦人科医・新生児科医・助産師・薬剤師・看護師など多職種で妊娠・分娩および新生児の診療を行っています。同院の周産期センターは助産ケアを中心とし、すべての分娩に産婦人科医が立ち会う体制で、ハイリスクや帝王切開術には新生児科医師も立ち会うバックアップ体制がとられています。アドバンス助産師の認証を持つ助産師が複数在籍しており、妊娠24週以降で経過が順調・医師の許可がある場合は助産師による妊婦健診を受けられる仕組みがあります。分娩後の2週間健診・授乳指導なども助産師が担当しています。
済生会・日赤などの市中病院という選択肢
水戸市内では、水戸済生会総合病院が総合周産期母子医療センターとして、水戸赤十字病院が地域周産期母子医療センターとして、それぞれ助産師を含む看護職員の採用を行っています。県南では総合病院土浦協同病院(JAグループ)、筑波メディカルセンター病院(つくば市)、JAとりで総合医療センター(取手市)などが地域のお産を支える公的な病院です。待遇・雇用形態・募集時期は病院によって異なるため、詳細は各病院の公式採用ページで確認してください。
正常分娩を中心に経験を積みたい場合は、水戸市・つくば市・土浦市などに分布する産婦人科クリニックや一般病院の産科病棟も選択肢になります。県内の助産師求人は産婦人科医院・一般病院が最も多く、求人サイトの集計データ(参考情報)では茨城県内の助産師求人を月給22万円台〜38万円程度とする例が見られますが、これは公務員・民間を問わない集計であり、一次情報ではない点にご留意ください。
茨城県の看護師等修学資金(返還免除型)
助産師学校・助産師養成所に在学中の場合、茨城県には茨城県保健師、助産師、看護師及び准看護師修学資金貸与条例に基づく修学資金貸与制度があります。茨城県が公表している制度概要によると、次のような内容です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 貸与対象 | 保健師・助産師・看護師・准看護師を養成する学校・養成所の在学者で、卒業後に茨城県内の指定施設で看護業務に従事する意思がある人 |
| 主な内容 | 修学資金を月額で貸与。返還の猶予・返還免除の規定がある |
| 返還免除の条件 | 免許取得後、茨城県内の指定施設で一定期間看護職員として従事した場合 |
すでに助産師資格を持って転職する場合は対象外ですが、これから資格を取得して茨城県内で働きたい方にとっては、学費支援と就職を結び付けられる制度です。貸与月額・対象施設・従事年数などの条件は年度によって変わるため、最新の募集要項を必ず確認してください。神栖市のように市町村独自の看護師修学資金制度を設けているケースもあります。
給料相場
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」に掲載された令和7年賃金構造基本統計調査によると、助産師全体(全国)の平均年収は566万7,000円(平均年齢41.2歳)、月収は38.9万円、賞与は98.8万円です。有効求人倍率は1.25倍(令和7年度、ハローワーク求人統計データ)となっています。
茨城県立中央病院などの県立病院では地方公務員の給料表(医療職給料表等)が適用され、経験年数や役職に応じて昇給する仕組みが一般的です。水戸済生会総合病院・水戸赤十字病院・土浦協同病院などの市中病院では、各法人の給与規程に基づく給料表が適用されます。いずれも実際の初任給・年収額は年度・職務経験年数・勤務先によって変動するため、応募時には各採用選考要項・募集要項に記載の給与条件を必ず確認してください。
助産師全体の仕事内容・キャリアパスについては助産師の転職事情を徹底解説!職場の選び方で給与も変わる?、看護職全体の求人動向は看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由、隣県の助産師採用については埼玉県で助産師に転職する方法、千葉県で助産師に転職する方法もあわせてご覧ください。
転職のメリット・デメリット
メリット
- 総合周産期母子医療センターが水戸市(水戸済生会)とつくば市(筑波大学附属病院)に分かれて配置されており、県央・県南のいずれのエリアでも高度な周産期医療に携わる職場の選択肢がある
- 筑波大学附属病院のようにMFICUを備えた大学病院があり、ハイリスク妊娠・母体搬送の症例を積みたい助産師に適した環境がある
- 茨城県立中央病院の周産期センターのように、アドバンス助産師が複数在籍し助産師主導の妊婦健診を実施している施設がある
- 県の看護師等修学資金に加え、神栖市のように市町村独自の看護師修学資金を設けているケースがある
デメリット
- 茨城県立病院の看護職員採用選考では助産師免許があっても職種区分は「看護師」で、周産期部門への配属が保証されるわけではない。県立で分娩を扱うのは中央病院のみ
- 茨城県の看護師等修学資金は「これから資格を取得する在学者」が対象で、資格を持って転職する人は利用できない
- 政令指定都市がなく、周産期医療の中核施設が水戸市・つくば市・土浦市などに分散しているため、勤務エリアによって求人の種類(病院中心かクリニック中心か)や通勤事情が変わる
- 専門性の高い施設ほどハイリスク症例やオンコール対応が多く、勤務負担が大きくなりやすい
転職で押さえておきたいポイント
経験を積みたい分野で就業先の種類を選ぶ
ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい場合は総合周産期母子医療センター(水戸済生会総合病院・筑波大学附属病院)や地域周産期母子医療センター、正常分娩中心で地域のお産に携わりたい場合は一般病院・産婦人科クリニックや助産院、というように、自分が積みたい経験に応じて就業先の種類を絞り込みましょう。
県立病院では助産師としての配属・処遇を事前に確認する
茨城県立病院の看護職員採用選考のように助産師免許保持者も「看護師」として採用する場合、産科病棟への配属や助産師手当の扱いは施設によって異なります。応募前に採用担当へ配属の見通しと処遇を確認しておくと安心です。
選考・募集の時期をこまめに確認する
茨城県病院局の看護師採用選考や市中病院の募集は、年度によって時期・回数・採用予定人数が変わります。公式の採用ページをこまめに確認し、受験・応募の機会を逃さないようにしましょう。
公務員以外の選択肢もあわせて比較する
県立病院の選考のタイミングが合わない場合や、済生会・日赤・クリニック・助産院での働き方に関心がある場合は、看護師転職サイトに登録して求人を紹介してもらう方法もあります。就業先ごとに扱う症例・オンコール体制・給与条件は異なるため、複数の求人を比較しながら検討を進めることをおすすめします。
この記事の主な情報源
- 茨城県「茨城県病院局職員の募集」
- 茨城県「茨城県職員(医療系職種・看護師)採用選考案内」
- 水戸済生会総合病院「総合周産期母子医療センター」
- 筑波大学附属病院「総合周産期母子医療センター」
- 水戸赤十字病院「地域周産期母子医療センター」
- 茨城県立中央病院「周産期センターについて」
- 茨城県「看護師等修学資金」
- 厚生労働省「周産期母子医療センター一覧」
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」助産師(令和7年賃金構造基本統計調査、令和7年度有効求人倍率)
制度・募集要項・指定施設は年度により変更されるため、最新の情報は茨城県・各医療機関の公式ページで必ずご確認ください。
よくある質問
Q. 茨城県で助産師として県立病院に転職するにはどうすればよいですか?
茨城県(病院局)が知事部局とあわせて実施する看護師採用選考に応募します。ただし助産師免許を持つ人も職種区分は「看護師」となります。令和8年度実施分では申込期間が8月上旬〜下旬、試験日が9月上旬でした。県立で分娩を扱うのは茨城県立中央病院(笠間市)で、こども病院は新生児科、こころの医療センターは精神科が中心です。募集時期・採用予定人数は年度によって変わるため、茨城県の採用選考案内ページで最新情報を確認してください。
Q. 茨城県の総合周産期母子医療センターはどこにありますか?
水戸済生会総合病院(水戸市)と筑波大学附属病院(つくば市)の2施設です。水戸済生会は産科領域を担当し、新生児科領域は茨城県立こども病院の新生児科が協力して運営しています。このほか水戸赤十字病院・茨城県立中央病院・総合病院土浦協同病院などが地域周産期母子医療センターに指定・認定されています。
Q. 水戸市とつくば市で助産師の求人事情は違いますか?
茨城県には政令指定都市がなく、周産期医療の中核施設も水戸市(水戸済生会・水戸赤十字)、つくば市(筑波大学附属病院)、土浦市(土浦協同病院)などに分散しています。求人サイトの集計では産婦人科医院・一般病院の求人が最も多く、水戸市・つくば市・土浦市などに分布する傾向があります。病院での高度な周産期医療を希望するか、クリニックで正常分娩に携わりたいかによって、狙うエリアと施設の種類を絞り込むとよいでしょう。
Q. 茨城県には助産師を目指す学生向けの修学資金制度はありますか?
茨城県保健師、助産師、看護師及び准看護師修学資金貸与条例に基づく修学資金貸与制度があり、助産師養成施設の在学者も対象です。卒業後に茨城県内の指定施設で一定期間看護業務に従事すると返還が免除されます。貸与月額・条件は年度によって変わるため最新の募集要項を確認してください。神栖市など市町村独自の看護師修学資金を設けているケースもあります。すでに資格を持って転職する人は県の制度の対象外です。
まとめ
茨城県で助産師として働くには、筑波大学附属病院などの大学病院、水戸済生会総合病院・水戸赤十字病院・土浦協同病院などの済生会・日赤・公的病院、茨城県立中央病院、産婦人科クリニック、助産院など幅広い選択肢があります。総合周産期母子医療センターが水戸市とつくば市に分かれて配置されているため、県央・県南のいずれのエリアでも高度な周産期医療に携わることができます。茨城県立病院の看護職員採用選考は茨城県(病院局)が知事部局とあわせて実施していますが、助産師免許があっても職種区分は「看護師」となるため、配属・処遇を事前に確認し、公務員以外の選択肢も含めて看護師転職サイトで求人を比較検討することをおすすめします。