神奈川県で助産師に転職する方法。県立病院機構・横浜市・川崎市の採用選考と周産期母子医療センターの求人事情
「神奈川県で助産師として転職したいけれど、県立病院と市立病院でどう違うのか分からない」「横浜市・川崎市はそれぞれ別に採用試験があるの?」——神奈川県は横浜市・川崎市という2つの政令指定都市を抱えるため、公務員助産師を目指す場合は「神奈川県立病院機構」「横浜市病院局」「川崎市」という複数の採用の枠組みが存在するのが特徴です。この記事では、神奈川県で助産師として働く際の主な選択肢、直近の採用選考の要項、給料相場を一次情報とあわせて解説します。
神奈川県で助産師として働く主な選択肢
神奈川県内で助産師資格を活かして働く場合、主に次のような就業先があります。
- 神奈川県立病院機構: 神奈川県立こども医療センター(総合周産期母子医療センター)をはじめとする県立病院に配属される
- 横浜市病院局・横浜市立病院: 横浜市立市民病院、横浜市立大学附属病院・附属市民総合医療センターなど、横浜市が運営・関与する病院
- 川崎市: 川崎市立川崎病院・井田病院で、川崎市職員として採用される
- その他の公的病院・大学病院: 聖マリアンナ医科大学病院、北里大学病院、東海大学医学部付属病院など、県内の総合周産期母子医療センター指定施設
- 一般病院・クリニックの産科病棟: 正常分娩を中心に扱う病院・産婦人科クリニック
- 助産院: 助産師が開業し、正常分娩の介助や母乳育児支援、産前産後ケアを行う
まずはハイリスク分娩に携わりたいのか、正常分娩を中心とした地域のお産に関わりたいのか、公務員として働きたいのかなど、自分が助産師としてどのような経験・働き方を求めているかを整理したうえで、就業先の種類を絞り込むとよいでしょう。

神奈川県立病院機構の採用選考
神奈川県立病院機構が公表している看護職(助産師・看護師)の採用情報によると、直近の採用選考の概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 応募資格 | 【免許取得見込者】翌年4月に看護師または助産師免許を取得見込みの人。【経験者】採用年度の4月1日時点で免許を取得済みで実務経験のある人 |
| 採用予定人数 | 病院機構全体で150人前後(年度途中採用を含む、直近年度の実績) |
| 給与水準 | 新卒(4年制大学卒)で月額353,200円(給料+諸手当)、経験者(経験5年・4年制大学卒)で月額382,100円(令和7年12月現在) |
| 手当 | 住居手当(上限28,500円)、通勤手当、扶養手当、専門看護手当等に加え、助産師には助産師手当(月8,000円)が別途支給される |
| 配属 | 合格者の配属病院は、原則として本人の希望が尊重される |
神奈川県立病院機構は年度内に複数回の採用選考を実施しており、免許取得見込者・経験者いずれも応募できる回が設けられています。募集内容・日程は年度によって変わるため、最新の情報は神奈川県立病院機構の看護職募集サイトで必ず確認してください。助産師として勤務する場合、神奈川県立こども医療センター(総合周産期母子医療センター)への配属となればハイリスク分娩・新生児医療の経験を積める点が特徴です。
横浜市・川崎市(政令指定都市)の採用選考
横浜市・川崎市は神奈川県立病院機構とは別に、それぞれ独自の採用選考を実施しています。
- 横浜市: 横浜市病院局が横浜市立市民病院等の看護保健職員(看護師・助産師)採用試験を実施。応募資格は看護師または助産師免許を有する人、あるいは翌年中に免許取得見込みの人が対象です。横浜市立大学附属病院・附属市民総合医療センターは地方独立行政法人横浜市立大学が運営するため、採用主体が異なる点にも注意が必要です。
- 川崎市: 川崎市病院局が川崎市立川崎病院・井田病院の助産師・看護師採用選考を実施。令和8年度は年5回の募集を予定しているとの発表があり、東京都特別区のような複数回の応募機会が設けられています。
横浜市立市民病院・横浜市立大学附属病院はいずれも神奈川県の地域周産期母子医療センターに指定されており、川崎市立川崎病院も同様の指定を受けています。政令指定都市ごとに募集要項・試験日程が個別に設定されるため、志望する市が決まっている場合は各病院・市の公式採用ページを定期的に確認することをおすすめします。
総合周産期母子医療センター5施設・地域周産期母子医療センター17施設
神奈川県が公表している最新の周産期医療体制資料(令和8年5月4日時点)によると、神奈川県内には総合周産期母子医療センター5施設(神奈川県立こども医療センター、横浜市立大学附属市民総合医療センター、聖マリアンナ医科大学病院、東海大学医学部付属病院、北里大学病院)と地域周産期母子医療センター17施設が指定されており、周産期救急医療システム受入病院は基幹8・中核16・協力5の計29病院にのぼります。
総合周産期母子医療センターは、母体・胎児集中治療管理室(MFICU)を含む新生児病棟を備え、リスクの高い妊娠・新生児医療に24時間体制で対応する医療機関です。地域周産期母子医療センターは産科と新生児医療を担当する小児科を備え、比較的高度な周産期医療を提供します。県内は横浜・川崎・三浦半島・湘南・西湘・県央北相の6ブロックに分かれており、ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい助産師にとって、どのブロック・施設で働くかによって扱う症例の傾向が変わる点も考慮しておくとよいでしょう。
神奈川県看護師等修学資金貸付制度
神奈川県は、保健師・助産師・看護師の養成施設等に在学し、卒業後に県内で看護職として従事する意思のある学生を対象に、修学資金貸付制度を設けています。貸付額は月額4万円と入学時一時金がある「特例貸付」と、月額2万円の「一般貸付」の2種類があり、卒業後に県内の対象施設で一定期間就業した場合に返還が免除される仕組みです。助産師養成課程の学生も対象に含まれています。貸与を受けるための具体的な要件・申込時期は年度により変わるため、詳細は神奈川県健康医療局医療整備・人材課の公式ページで確認してください。
給料相場
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」に掲載された令和7年賃金構造基本統計調査によると、助産師全体(全国)の平均年収は566万7,000円(平均年齢41.2歳)、月収は38.9万円、賞与は98.8万円です。有効求人倍率は1.25倍(令和7年度、ハローワーク求人統計データ)となっています。
神奈川県立病院機構・横浜市・川崎市などの公的病院では、地方公務員の給料表(医療職給料表等)に地域手当が加算されるため、全国平均よりも高い水準になりやすい傾向があります。神奈川県立病院機構の場合、新卒(4年制大学卒)で月額353,200円、経験者(経験5年)で月額382,100円という水準が公表されており(令和7年12月現在)、助産師には別途月8,000円の助産師手当が加算されます。ただし、実際の初任給・年収額は年度・職務経験年数・勤務先によって変動するため、応募時には各採用選考要項に記載の給与条件を必ず確認してください。
助産師全体の仕事内容・キャリアパスについては助産師の転職事情を徹底解説!職場の選び方で給与も変わる?、東京都での転職事情は東京都で助産師に転職する方法、看護職全体の求人動向は看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由もあわせてご覧ください。
転職のメリット・デメリット
メリット
- 神奈川県立病院機構・横浜市・川崎市と複数の公的病院の採用枠組みがあり、公務員として応募できる機会が比較的多い
- 総合周産期母子医療センター5施設を含む県内29の周産期救急医療システム受入病院があり、ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積める職場の選択肢が豊富
- 公的病院は公務員として給与の安定性・退職金制度があり、助産師手当等の加算もある
デメリット
- 県立病院機構・横浜市・川崎市で募集要項・試験日程が別々に設定されており、志望先ごとに個別の準備が必要
- 高度な周産期医療センターほどハイリスク症例やオンコール対応が多く、勤務負担が大きくなりやすい
- 横浜市立大学附属病院のように運営主体が地方独立行政法人など複雑なケースもあり、応募先の採用主体を事前に確認する必要がある
転職で押さえておきたいポイント
経験を積みたい分野・希望する勤務先で応募先を選ぶ
ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい場合は総合周産期母子医療センター、横浜市内での勤務を希望するなら横浜市病院局、川崎市内なら川崎市の採用選考、というように、自分が積みたい経験や希望する勤務地に応じて応募先を絞り込みましょう。
申込期間・試験日程を早めに確認する
神奈川県立病院機構は年度内に複数回の採用選考を実施しており、川崎市も令和8年度は年5回の募集を予定しているなど、応募機会は比較的多く設けられています。ただし各回の申込期間は限られるため、志望先の公式ページを定期的に確認し、申込期間を逃さないようにすることが重要です。
公務員以外の選択肢もあわせて比較する
公務員試験のタイミングが合わない場合や、クリニック・助産院での働き方に関心がある場合は、看護師転職サイトに登録して求人を紹介してもらう方法もあります。就業先ごとに扱う症例・オンコール体制・給与条件は異なるため、複数の求人を比較しながら検討を進めることをおすすめします。
この記事の主な情報源
- 神奈川県立病院機構「看護職募集サイト」
- 神奈川県「神奈川県の周産期医療体制について」、周産期救急医療システム受入病院一覧(令和8年5月4日時点)
- 神奈川県「修学資金がサポート」
- 川崎市「令和8年度川崎市職員採用選考(助産師・看護師)を実施します」
- 厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」助産師(令和7年賃金構造基本統計調査、令和7年度有効求人倍率)
制度・募集要項・指定施設数は年度により変更されるため、最新の情報は神奈川県立病院機構・横浜市・川崎市の公式ページで必ずご確認ください。
よくある質問
Q. 神奈川県で助産師として公務員になるにはどうすればよいですか?
神奈川県立病院機構、横浜市病院局、川崎市がそれぞれ独自に採用選考を実施しています。希望する勤務地・病院に応じて応募先を選ぶ必要があり、応募資格・採用予定人数・申込期間は年度・実施回により変わるため、各公式ページで最新の募集要項を確認することが重要です。
Q. 神奈川県の総合周産期母子医療センターはどのくらいありますか?
神奈川県の公表資料(令和8年5月4日時点)によると、神奈川県内には総合周産期母子医療センター5施設・地域周産期母子医療センター17施設が指定されており、周産期救急医療システム受入病院は基幹8・中核16・協力5の計29病院です。
Q. 助産師の給料は神奈川県の方が高いですか?
助産師全体(全国)の平均年収はjob tag(令和7年賃金構造基本統計調査)で566万7,000円です。神奈川県立病院機構の場合、新卒(4年制大学卒)で月額353,200円、経験者(経験5年)で月額382,100円という給与水準が公表されており(令和7年12月現在)、助産師手当(月8,000円)も別途支給されます。ただし実際の金額は年度・経験年数・勤務先によって変わるため、各採用選考要項で確認する必要があります。
Q. 助産師を目指す学生が使える学費支援制度はありますか?
はい、神奈川県は「神奈川県看護師等修学資金貸付制度」を設けており、助産師養成施設等に在学し卒業後に県内で看護職として従事する意思がある学生を対象に、月額4万円(特例貸付)または月額2万円(一般貸付)の修学資金を貸与しています。卒業後に県内の対象施設で一定期間就業すると返還が免除される仕組みです。詳細な要件・申込時期は神奈川県健康医療局医療整備・人材課の公式ページで確認してください。
まとめ
神奈川県で助産師として働くには、神奈川県立病院機構、横浜市病院局、川崎市という複数の公的病院の採用枠組みがあり、それぞれ独自に採用選考を実施しています。県内には総合周産期母子医療センター5施設を含む29の周産期救急医療システム受入病院があり、ハイリスク分娩や新生児医療の経験を積みたい助産師にとって選択肢が豊富なエリアです。希望する勤務地・経験したい分野に応じて応募先を整理し、申込期間・試験日程を早めに確認したうえで、公務員以外の選択肢も含めて看護師転職サイトで求人を比較検討することをおすすめします。