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看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由

ナースレコナビ編集部

「看護師は売り手市場」という話をよく耳にしますが、実際の数字でどのくらいの水準なのか、根拠を持って説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、日本看護協会と厚生労働省が公表している一次データをもとに、看護職の有効求人倍率の実態と、その数字を転職活動でどう活かせばよいのかを解説します。

看護職の有効求人倍率は2024年度に2.51倍。10年ぶりの高水準

公益社団法人日本看護協会が全国の都道府県ナースセンター(無料職業紹介事業)の登録データを集計した「2024(令和6)年度 ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」によると、2024年度の常勤職の求人倍率は3.00倍、看護職全体でみた求人倍率は前年度比0.29ポイント増の2.51倍となり、2015年度以来10年ぶりの高水準を記録しました。

一方、厚生労働省が毎月公表している「一般職業紹介状況」によると、全産業の有効求人倍率(季節調整値)は令和8年5月分で1.17倍です。単純な比較にはなりますが、看護職の求人倍率は全産業平均のおよそ2倍以上の水準にあることがわかります。

対象有効求人倍率時点
看護職(都道府県ナースセンター、常勤職)3.00倍2024年度
看護職(都道府県ナースセンター、全体)2.51倍2024年度
全産業平均(ハローワーク、季節調整値)1.17倍2026年5月分

施設種類別に見ると。訪問看護ステーションが突出

同じ看護職でも、勤務先の種類によって求人倍率には大きな差があります。2024年度のデータでは、次のような結果が出ています。

施設種類求人倍率(2024年度)
訪問看護ステーション4.54倍
病院(20〜199床)3.00倍
病院(200〜499床)2.49倍
病院(500床以上)1.93倍
ケアハウス・グループホーム・有料老人ホーム1.78倍
特別養護老人ホーム1.38倍

特に訪問看護ステーションの4.54倍は他の施設種類と比べても突出しており、人材確保が最も難しい領域であることがわかります。背景には、訪問看護ステーション自体の急増(2025年4月時点で全国18,754件、前年比108%)による採用競争の激化があります。訪問看護の仕事内容や給与水準については、訪問看護の需要が急増中。給与水準も高くなっている?仕事内容と給与を徹底検証!で詳しく解説しています。

病院についても、病床数が少ない中小規模の病院ほど求人倍率が高く、大規模病院(500床以上)ほど低い傾向がはっきり出ています。これは、大規模病院の方が知名度・待遇面で人材を確保しやすい一方、中小規模の病院ほど採用に苦労している実態を示していると考えられます。

有効求人倍率が2倍を超えるとはどういうことか

有効求人倍率は「求職者1人あたり何件の求人があるか」を示す指標です。倍率2.51倍ということは、単純化すると看護職の求職者1人に対して求人が2.51件ある状態を意味します。裏を返せば、求人を出している医療機関・施設から見ると「1件の求人に対して、応募してくれる候補者が0.4人程度しかいない」計算になり、採用側が人材獲得に苦労している状況が数字に表れています。

つまりこの数字は、看護職にとっては「選べる立場にある」ことを示す一方、医療・介護現場にとっては人手不足が深刻であることの裏返しでもあります。

数字を読むときの3つの注意点

有効求人倍率は転職市場を把握するうえで有用な指標ですが、そのまま鵜呑みにすると誤解を招く面もあります。

①都道府県ナースセンター経由の求人に限られる

このデータは、都道府県ナースセンターに登録された求人・求職者のみを対象とした集計です。転職サイト・人材紹介会社経由の求人や、医療機関が独自に募集する求人は含まれていません。看護職の転職市場全体を完全に代表する数字ではない点には留意が必要です。

②地域差・診療科差が大きい

全国平均が2.51倍であっても、都市部と地方、病棟か外来か、診療科によって求人状況は大きく異なります。「倍率が高いから、どの求人でも簡単に転職できる」というわけではありません。

③倍率が高い=好条件とは限らない

訪問看護ステーションのように求人倍率が高い領域は、裏を返せば人が集まりにくい・定着しにくい事情を抱えている場合もあります。求人倍率だけで判断せず、給与・勤務体制・研修体制などの条件を個別に確認することが重要です。

求人倍率が高い今、転職活動でできること

複数の求人を比較して「相場」を把握する

求人倍率が高い状況では、応募先の選択肢が多く、条件交渉の余地も生まれやすくなります。まずは自分の資格・経験でどのくらいの条件の求人があるのか、複数の求人票を比較してみることから始めるとよいでしょう。給与水準の目安は気になる看護師の平均年収大公開!あなたは平均より安いかも、給与アップを狙う転職の進め方は看護師の転職で給与アップするためにやるべき事!でも解説しています。

「今の職場に不満はないが、条件だけ確認したい」でも問題ない

求人倍率が高い=転職を急ぐべき、という意味ではありません。今の職場に大きな不満がない場合でも、市場の相場観を知っておくことは、今後のキャリアを考えるうえで無駄にはなりません。実際に応募しなくても、転職サイトに登録して求人票を眺めるだけで多くの情報が得られます。

ミスマッチを避けるための情報収集も忘れずに

売り手市場だからといって焦って転職先を決めると、こんなはずではなかったというミスマッチにつながることもあります。後悔しない転職のための注意点は看護師の転職で後悔しないために。よくあるミスマッチの原因と対策で詳しく解説していますので、あわせて確認しておくことをおすすめします。

気になる方は、人気の看護師転職求人サイトおすすめランキングを見るから、まずは求人票を比較してみてください。

この記事の主な情報源

制度・統計は今後更新される可能性があるため、最新の情報は各発表元の公式ページもあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 看護師の有効求人倍率2.51倍とはどういう意味ですか?

求職者1人に対して2.51件の求人がある状態を意味します。数字が大きいほど、求職者側が求人を選びやすい「売り手市場」であることを示します。ただし都道府県ナースセンター経由のデータに限られる点には注意が必要です。

Q. 訪問看護の求人倍率が高いのはなぜですか?

訪問看護ステーションの急増による採用競争の激化や、1人ひとりの利用者宅を訪問する働き方への適性が求められることなどが背景にあると考えられます。2024年度の求人倍率は4.54倍と、他の施設種類より高い水準です。

Q. 求人倍率が高い今、転職すべきですか?

求人倍率が高いことは「転職しやすい環境にある」ことを示しますが、「今すぐ転職すべき」という意味ではありません。今の職場に不満がない場合でも、求人票を比較して市場の相場観を知っておくことは、今後のキャリアを考えるうえで役立ちます。

Q. このデータはどこで確認できますか?

日本看護協会が毎年公表している「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人・就職に関する分析」報告書で確認できます。全産業平均との比較には、厚生労働省が毎月公表する「一般職業紹介状況」もあわせて参照するとよいでしょう。

まとめ

看護職の有効求人倍率は2024年度に2.51倍となり、10年ぶりの高水準を記録しました。全産業平均(1.17倍)と比べても高く、特に訪問看護ステーション(4.54倍)では人材確保がより一層難しい状況にあります。ただし、この数字は都道府県ナースセンター経由の求人に限られるものであり、地域・診療科による差も大きいため、鵜呑みにせず自分の状況に照らして参考にすることが大切です。求人倍率が高い今だからこそ、複数の求人を比較し、自分に合った転職先を見極める材料として活用してみてください。

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