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看護師の給料は2026年度改定でどう変わる?賃上げの実態と転職の判断基準

ナースレコナビ編集部

「2026年度の診療報酬改定で看護師の給料が上がるらしい」というニュースを見て、期待した方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、看護師の給料は制度上は上がる方向にありますが、それは「自動的に」「一律に」上がることを意味しません。上がる金額は病院・法人の対応次第で差が出ますし、そもそも加算を取得するかどうかも医療機関の判断に委ねられています。

この記事では、2026年度診療報酬改定の中身と看護師の給料への影響、報道されている賃上げの試算額、そして「自分の職場では給料が上がりそうにない」と感じたときに転職を考えるべきかどうかの判断基準を、できるだけわかりやすく整理します。転職を今すぐ考えていない方でも、自分の市場価値を把握しておくことは決して損にはなりません。

2026年度診療報酬改定とは?看護師の給料に関係する仕組みをおさらい

診療報酬改定の全体像

診療報酬改定は、医療機関が受け取る診療報酬(医療サービスの公定価格)を原則2年に一度見直す制度です。2025年12月24日に決定した2026年度の改定では、**2026・2027年度の2年度平均でプラス3.09%の改定率となり、そのうち「賃上げ分」として2年度平均でプラス1.70%**が充てられることになりました。

この「賃上げ分」が、看護師をはじめとする医療従事者の給料に反映される原資にあたります。ただし診療報酬自体は「病院や施設が受け取るお金」であって、看護師個人の給料に直接振り込まれるわけではない点に注意が必要です。ここが「制度上は上がるはずなのに、実感がない」という声が出る一因になっています。

ベースアップ評価料とは

医療従事者の賃上げを確実なものにする仕組みとして、令和6年度の改定で「ベースアップ評価料」が新設されました。これは、医療機関が算定した分を人件費(基本給や手当)の引き上げに充てることを前提とした加算です。2026年度改定では、この評価料の見直し・強化が図られており、賃上げの実効性を高める方向で制度設計されています。

つまり、**「診療報酬が上がる」→「ベースアップ評価料などを医療機関が算定する」→「人件費として看護師に配分される」**という流れを経て、はじめて手元の給料に反映されます。途中のどこかで滞ると、報道されているような賃上げは実感しにくくなります。

看護師の給料は実際いくら上がる?報道されている試算

月額1.2万〜2.5万円という試算

複数の報道では、2026年度診療報酬改定によって看護師の給料が月額1.2万円〜2.5万円程度引き上げられる可能性があるとの試算が示されています。年額に換算するとおおよそ14万円台〜30万円程度の上乗せ幅にあたります。あわせて、一人当たり9,000円〜1万円程度の賃上げという、やや控えめな試算も報じられており、報道によって幅があります。

これは各報道機関・シンクタンクが異なる前提(病院の規模、算定する加算の種類、配分方法など)で試算しているためで、「この金額が全員に確約されている」というわけではないことを押さえておきましょう。

試算の内容金額の目安備考
月額ベースの試算月額1.2万円〜2.5万円程度病院規模・算定する加算の組み合わせにより幅がある
一人当たりの試算9,000円〜1万円程度やや控えめな前提での試算
診療報酬全体の改定率2年度平均+3.09%うち賃上げ分は2年度平均+1.70%

同じニュースを見ても報道によって金額の幅が違って見えるのは、この前提の違いによるものです。数字だけを鵜呑みにせず、「あくまで目安」として捉えておくのが安全です。

モデルケースで考える。給料はどのくらい変わりうるか

イメージをつかむために、簡単なモデルケースで考えてみましょう。仮に、基本給25万円・諸手当込みで月収32万円の中堅看護師(勤続5年程度)がいたとします。

  • 試算の下限(月額1.2万円程度)が反映された場合 → 月収はおよそ33万2,000円程度に
  • 試算の上限(月額2.5万円程度)が反映された場合 → 月収はおよそ34万5,000円程度に
  • 年収換算では、上記の差だけでもおよそ14万円〜30万円ほどの開きが生まれる計算になります

もちろんこれはあくまで試算をそのまま当てはめた場合の参考値であり、実際の金額は勤務先の規模や配分方針によって大きく変わります。ただ、「上がるとしたらこのくらいの幅がある」というイメージを持っておくと、自分の給与明細を確認するときの物差しになります。

一時金・年末賞与への影響

給料(月額)だけでなく、賞与・一時金への影響を見ておくことも大切です。実際に、都市部のある労働組合の調査では、2025年末の一時金(ボーナス)平均額が前年比でマイナスになったという報告もあります。診療報酬改定による賃上げ効果が、賞与にまでプラスに反映されるかどうかは、各医療機関の経営状況によっても左右されるということです。

注意点。上がる金額は病院・法人によって差がある

ここが最も重要なポイントです。診療報酬改定はあくまで「制度」であり、それをどう人件費に配分するかは医療機関側の裁量部分が大きく残っています。同じ地域、同じ規模の病院であっても、

  • 加算を算定するかどうかの判断
  • 算定した加算をどの職種にどう配分するか
  • 基本給に組み込むのか、手当として別建てにするのか

といった点は法人ごとに異なります。「制度上は賃上げのはずなのに、自分の給与明細には反映されていない」というケースが起こり得るのは、このためです。

訪問看護は2026年6月から新たに処遇改善加算の対象に

訪問看護で働く方、あるいは訪問看護への転職を考えている方には、もう一つ大きなニュースがあります。訪問看護は2026年6月から、初めて処遇改善加算の対象となりました。加算率は1.8%で、スタッフ1人あたり月1万円以上の賃上げを目指す内容とされています。

これまで訪問看護は病院・クリニックに比べて処遇改善の枠組みから外れがちな領域でしたが、今回の制度変更で待遇改善の後押しが期待されています。背景には、訪問看護ステーションの急増(2025年4月時点で全国18,754件、前年比108%)による人材獲得競争の激化もあり、条件面で他の医療機関との差別化を図る事業所も増えています。訪問看護への転職を考えている方は、この加算を実際に取得・還元している事業所かどうかを、求人票や面接時に確認しておくとよいでしょう。訪問看護の仕事内容や給与水準そのものについては、訪問看護の需要が急増中。給与水準も高くなっている?仕事内容と給与を徹底検証!で詳しく解説しています。

「給料が上がる」は自動じゃない。知っておくべき3つの注意点

これまでの内容を踏まえると、制度と実際の給料の間には次の3つのギャップが存在することがわかります。

①加算を取得するかどうかは医療機関の判断

ベースアップ評価料などの加算は、算定要件を満たした上で医療機関が届け出て初めて反映されます。経営体力や事務手続きの都合で、算定を見送る医療機関も存在します。

②看護師本人への配分率は法人ごとに違う

加算を取得していても、その原資をどの職種にどれだけ配分するかは法人の裁量です。看護師以外の職種(事務職員、コメディカルなど)にも配分される場合、看護師個人の取り分は試算より小さくなることがあります。

③実際に給料に反映されるまでのタイムラグ

制度改定の適用開始と、実際に給与明細・賞与へ反映されるタイミングにはズレが生じることがあります。改定直後の数か月は「まだ反映されていない」だけというケースも少なくありません。

自分の職場は本当に給料が上がっているか確認する方法

給与明細でチェックすべき項目

まずは直近の給与明細を確認しましょう。基本給の額面に変化があるか、「処遇改善手当」「ベースアップ手当」といった名目の項目が新設・増額されていないかを見るのがポイントです。前年同月の給与明細と比較すると変化がわかりやすくなります。

賃上げがない・見込めない場合にできること

もし数か月経っても変化がない場合、人事や労務担当に直接確認するのも一つの方法です。ただし、組織によっては聞きづらい、答えてもらえないという場合も現実にはあります。そのようなときに有効なのが、外の求人票と比較して、自分の給料が今どのくらいの水準にあるのかを客観的に把握することです。

給料に不満・不安があるなら。転職で市場価値を確認する意味

有効求人倍率2.4倍時代、看護師は「選べる」立場にある

看護職員(看護師・准看護師・保健師・助産師)の有効求人倍率は、直近で2倍を超える水準が続いており、全産業平均(1倍前後)と比べても高い水準です。都道府県ナースセンターの求人倍率は2024年度に2.51倍となり、2015年度以来の高水準とも報じられています。

対象有効求人倍率の目安
看護職員(看護師・准看護師・保健師・助産師)約2.1〜2.4倍
都道府県ナースセンター経由の求人2.51倍(2024年度)
全産業平均約1.1〜1.2倍

数字だけを見ても、看護師が他の多くの職種と比べて「求人を選びやすい」状況にあることがわかります。つまり看護師は、他の職種に比べて「今の職場に留まるか、条件のよい職場に移るか」を選びやすい立場にあるといえます。あわせて、気になる看護師の平均年収大公開!あなたは平均より安いかも看護師の転職で給与アップするためにやるべき事!も参考にすると、自分の給与水準をより具体的に把握しやすくなります。

転職サイトで求人票を比較するだけでも、今の職場の立ち位置がわかる

「今すぐ転職する」ことと「転職サイトに登録して求人を比較してみる」ことは、まったく別の話です。実際に応募・面接に進まなくても、同じ地域・同じ診療科の求人票を眺めるだけで、「自分の給料は今、世間相場と比べてどうなのか」がかなり具体的にわかります。

診療報酬改定による賃上げが自分の職場でどこまで反映されているか判断がつかない、という方こそ、一度人気の看護師転職求人サイトおすすめランキングを見るから、いくつかの求人票を比較してみることをおすすめします。給与や待遇の相場観を持っておくことは、今の職場に留まる場合でも、転職する場合でも、決して無駄にはなりません。

この記事の主な情報源

本記事の統計・制度に関する情報は、以下の公的機関・専門機関の発表を参考にしています。

制度の詳細や最新の適用状況は変更される可能性があるため、正確な情報は勤務先や日本看護協会の公式発表もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 2026年度診療報酬改定はいつから適用されますか?

2026年度の診療報酬改定は、通常の改定スケジュールに沿って2026年度中に適用が始まります。ただし、医療機関ごとの届け出手続きや、給与への反映時期には一定のタイムラグが生じることがあります。詳細な適用日は、勤務先の医療機関や日本看護協会の発表を確認することをおすすめします。

Q. 賃上げはすべての看護師が対象ですか?

制度上はベースアップ評価料などの対象となるすべての医療機関が対象になり得ますが、実際に算定するかどうか、どの職種にどれだけ配分するかは医療機関ごとの判断です。そのため、すべての看護師に一律で同じ金額が反映されるわけではありません。

Q. 給料が上がらない場合、転職はすぐした方がいいですか?

「すぐに転職すべき」とは限りません。まずは給与明細の変化を確認し、勤務先に問い合わせてみることが第一歩です。そのうえで、他の求人と比較して自分の給料の立ち位置を把握しておくと、今後の判断材料になります。転職サイトへの登録・求人閲覧は無料で行えるものがほとんどなので、情報収集だけの利用でも問題ありません。

Q. 訪問看護師も今回の賃上げの対象になりますか?

はい。訪問看護は2026年6月から新たに処遇改善加算の対象となり、加算率1.8%、スタッフ1人あたり月1万円以上の賃上げを目指す仕組みが導入されています。訪問看護ステーションで働いている方、これから訪問看護への転職を考えている方は、勤務先(または応募先)がこの加算を取得・還元しているかを確認するとよいでしょう。

Q. この記事の試算はいつの情報ですか?古くなっていませんか?

本記事は2025年12月の診療報酬改定決定・関連報道をもとに、2026年7月時点で整理した内容です。制度の運用状況や試算の前提は今後さらに詳細が明らかになる可能性があるため、最新の適用状況は日本看護協会の公式発表や勤務先の案内もあわせてご確認ください。

まとめ

2026年度の診療報酬改定により、看護師の給料は制度上、上がる方向にあります。報道されている試算では月額1.2万〜2.5万円程度とされていますが、実際にどれだけ反映されるかは医療機関の判断や配分方法によって差が出ます。訪問看護も2026年6月から処遇改善加算の対象に加わり、待遇改善の動きが広がっています。

大切なのは、「制度が変わった」というニュースだけで一喜一憂するのではなく、自分の給与明細で実際の変化を確認すること、そして外の求人と比較して自分の市場価値を把握しておくことです。看護師の有効求人倍率は依然として高水準にあり、今の職場に留まるとしても、転職するとしても、情報を持っていて損はありません。気になる方は、まず人気の看護師転職求人サイトおすすめランキングを見るから、求人票を比較するところから始めてみてください。

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