看護師の給与を上げる方法。今の職場でできることと転職での比較ポイント
看護師が給与を上げる方法は、大きく分けて「今の職場のままで収入を増やす方法」と「転職によって収入を増やす方法」の2種類があります。どちらが向いているかは、今の職場への満足度や、給与以外に重視したい条件によって変わります。
この記事では、今の職場でできる工夫と、転職によって給与アップを目指す場合に確認すべきポイントの両方を、公的統計や公式情報をもとに整理します。「資格を取れば必ず給与が上がる」「転職すれば確実に年収が増える」といった保証はできませんが、何を確認すればよいかが分かれば、自分に合った選択がしやすくなります。
看護師が給与を上げる方法。まず全体像を確認
給与アップにつながりうる主な方法は、次のとおりです。
- 今の職場で: 夜勤回数・勤務形態の見直し、役職(管理職)を目指す、資格・専門性を活かす、手当や評価制度を確認する
- 転職で: 勤務先の種類・企業規模・地域による給与水準の違いを比較し、条件のよい求人を探す
それぞれのメリット・注意点は後述の比較表で整理しています。まずは、今の給与が実際どのくらいの水準にあるのかを確認するところから始めましょう。
今の給与が適正かどうかを確認する方法
給与アップを検討する前に、まず自分の給与が世間相場と比べてどうなのかを把握しておくことが大切です。
- 給与明細を確認する: 基本給・各種手当・賞与の内訳を確認し、何が支給されているか、いないかを把握します。
- 看護師の平均的な年収データと比較する: 厚生労働省の統計をもとにした看護師の平均年収・平均月収・企業規模別の水準は、看護師の平均年収はいくら?最新データで見る月収・賞与の内訳で解説しています。ただしこれは対象労働者全体の平均値であり、年齢・勤続年数・勤務先によって個人差がある点に注意してください。
- 求人票を眺めてみる: 実際に転職するかどうかにかかわらず、同じ地域・同じ勤務形態の求人票を見るだけでも、自分の給与の立ち位置がある程度具体的に分かります。
今の職場で給与を上げる方法
転職をしなくても、今の職場の中で給与を見直せる余地がある場合があります。
夜勤回数・勤務形態を見直す
夜勤手当がある職場では、夜勤回数を増やすことで月々の収入が増える場合があります。ただし夜勤手当の金額は施設ごとに異なり、体への負担も大きくなるため、金額だけで判断しないことが大切です。夜勤手当の全国相場や、給与明細での確認方法は看護師の夜勤手当の相場はいくら?給与明細の見方と病院で差が出る理由で詳しく解説しています。
役職・管理職を目指す
主任・師長といった役職に就くと、役職手当が加わる勤務先があります。手当の有無や金額は勤務先によって異なり、また責任・業務量も増えるため、収入面だけでなく働き方全体への影響も踏まえて検討することが大切です。
資格・専門性、担当業務を活かす
認定看護師・専門看護師などの資格を取得すると、資格手当を支給する勤務先があります。公益社団法人日本看護協会は、専門看護師・認定看護師の処遇に関する実態調査などを公表しており、資格手当の有無・金額は施設によって差があることが示されています(詳細な調査結果は同協会の看護職の給与の調査・データで確認できます)。資格取得だけで給与が上がることを保証するものではなく、手当の有無・金額は事前に勤務先へ確認することをおすすめします。
手当や評価制度を確認する
基本給以外にも、住宅手当・資格手当・役職手当など、勤務先ごとに独自の手当制度があります。まずは自分の給与明細と就業規則(給与規定)を確認し、対象になっている手当・なっていない手当を把握しましょう。また、2026年度の診療報酬改定では、看護職員の賃上げを目的とした「ベースアップ評価料」の見直しが行われています。制度の仕組みや、実際に自分の給与に反映されているかの確認方法は看護師の給料は2026年度改定でどう変わる?賃上げの実態と転職の判断基準で解説しています。
転職によって給与アップを目指す方法
今の職場での見直しに限界を感じる場合、転職によって条件のよい勤務先を探す方法もあります。転職先を比較する際は、次のような観点を確認しましょう。
勤務先の種類
病院・クリニック・訪問看護ステーション・介護施設など、勤務先の種類によって業務内容・夜勤の有無・給与水準の傾向が異なります。
企業規模
厚生労働省の統計では、看護師が所属する企業全体の常用労働者数(企業規模)によって、平均給与に差があることが示されています。詳しくは看護師の平均年収記事の企業規模別データをご覧ください。ただし、これは平均値の傾向であり、規模の大きい勤務先へ移れば必ず給与が上がることを示すものではありません。
地域
都市部と地方とでは、看護師の採用状況や生活コストの違いから、給与水準が異なることがあります。同じ地域内でも施設によって差があるため、地域だけでなく個別の求人条件を確認することが大切です。
夜勤の有無
クリニックや訪問診療など、夜勤が発生しない勤務先もあります。夜勤の有無は月々の収入だけでなく、生活リズムにも大きく影響するため、給与とあわせて確認したいポイントです。
基本給と各種手当
求人票の「月給」「年収例」には、各種手当が含まれている場合と含まれていない場合があります。基本給がいくらで、どの手当がいくら上乗せされているのかを、面接や条件確認の段階で確認しましょう。
賞与・退職金
賞与の支給月数や退職金制度の有無も、長期的な年収・生涯収入に影響します。月給だけでなく、賞与・退職金を含めた年間の総支給額で比較することをおすすめします。
転職時に給与だけで判断しないための注意点
転職によって給与が上がることもありますが、必ず上がるとは限りません。厚生労働省が毎年公表している「雇用動向調査」では、転職(転職入職)によって前職より賃金が増加した人・減少した人・変わらなかった人の内訳が明らかにされており、実際には賃金が減少するケースも一定数含まれることが分かっています。具体的な最新の増減割合は、厚生労働省「雇用動向調査結果の概要」で確認できます。
また、給与だけを見て転職先を決めると、次のような点で後悔につながることがあります。
- 夜勤回数や勤務体制が今より厳しくなる
- 通勤時間が長くなる
- 教育体制や人間関係が今の職場より合わない
給与は転職先を選ぶ重要な条件の一つですが、それだけで判断せず、勤務条件・職場の雰囲気なども含めて総合的に比較検討することをおすすめします。看護師は他の職種と比べて有効求人倍率が高い状態が続いているとされ、比較検討をしやすい環境にあります。詳しくは看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由で解説しています。
給与アップの方法を比較する
ここまで紹介した方法を、実行のしやすさや反映までの期間の目安で比較すると、次のようになります。具体的な増収額は勤務先や個人の状況によって大きく異なるため、金額は掲載していません。
| 方法 | 実行しやすさ | 収入へ反映されるまでの期間の目安 | 主なメリット | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 夜勤回数・勤務形態の見直し | 比較的取り組みやすい | 翌月以降の給与から反映されやすい | 今の職場のまま収入を増やせる可能性がある | 体への負担が増える。手当額は施設ごとに異なる |
| 手当・評価制度の確認 | 取り組みやすい(確認のみ) | 対象手当があれば早期に反映 | 追加の行動をせずに漏れを見つけられる場合がある | 対象手当がなければ収入増にはつながらない |
| 資格・専門性の活用 | 時間がかかる(取得までの学習・実務経験が必要) | 資格取得後、勤務先の手当制度次第 | 専門性が高まりキャリアの選択肢が広がる | 資格手当の有無・金額は勤務先によって異なり、支給されない場合もある |
| 役職・管理職を目指す | 時間がかかる(経験・評価の蓄積が必要) | 昇進のタイミング次第 | 役職手当が加わる勤務先がある | 責任・業務量が増える。役職手当がない勤務先もある |
| 転職 | 準備(情報収集・比較)は始めやすいが、実際の転職には相応の時間がかかる | 転職後の給与から反映 | 勤務先ごとの給与水準の違いを活かせる可能性がある | 給与が上がるとは限らない。夜勤・通勤・教育体制など他条件も変わる |
給与アップに向けた行動手順
- 給与明細を確認し、基本給・各種手当・賞与の内訳を把握する
- 就業規則(給与規定)を確認し、対象になっていない手当がないか確認する
- 看護師の平均的な給与データと比較し、自分の給与の大まかな位置づけを把握する
- 今の職場で見直せる点(夜勤回数、資格取得、役職への挑戦など)を整理する
- 転職も選択肢に入れる場合は、求人票を比較し、給与以外の条件(夜勤の有無、教育体制、通勤時間など)もあわせて確認する
- 給与だけでなく、働き方全体の希望条件を整理したうえで、今の職場に留まるか、転職するかを判断する
よくある質問
Q. 看護師が給与を上げるにはどの方法がありますか
大きく分けて、今の職場でできる方法(夜勤回数・勤務形態の見直し、役職を目指す、資格・専門性を活かす、手当や評価制度の確認)と、転職によって条件のよい勤務先を探す方法があります。どちらが向いているかは、今の職場への満足度や重視したい条件によって異なります。
Q. 資格を取れば必ず給与は上がりますか
必ず上がるとは限りません。認定看護師・専門看護師などの資格を取得すると資格手当を支給する勤務先はありますが、手当の有無・金額は施設によって異なります。資格取得を検討する際は、勤務先の手当制度を事前に確認することをおすすめします。
Q. 夜勤を増やす以外に収入を上げる方法はありますか
はい。役職(管理職)を目指す、資格・専門性を活かす、今の給与明細や就業規則を確認して見落としている手当がないか調べる、といった方法もあります。それぞれのメリット・注意点は本文の比較表で整理しています。
Q. 給与アップを目的に転職するときは何を比較すべきですか
基本給、各種手当、賞与・退職金を含めた年間の総支給額に加えて、勤務先の種類、企業規模、地域、夜勤の有無といった条件も比較することをおすすめします。給与だけで判断すると、夜勤回数や教育体制など他の条件で後悔することもあります。
Q. 転職で給与が下がることはありますか
はい、あり得ます。厚生労働省の「雇用動向調査」では、転職によって前職より賃金が増加した人だけでなく、減少した人も一定数いることが示されています。転職すれば必ず給与が上がるという保証はないため、求人票の内容をよく確認し、比較検討したうえで判断することが大切です。
この記事の主な情報源
本記事の統計・制度に関する情報は、以下の公的機関の発表を参考にしています。
- 公益社団法人日本看護協会「看護職の給与の調査・データ」(専門看護師・認定看護師の処遇に関する調査等を掲載)
- 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」(転職による賃金変動状況を含む)
企業規模別の給与水準・夜勤手当の相場・2026年度診療報酬改定の詳細は、本文中でリンクしている関連記事もあわせてご確認ください。制度の詳細や最新の適用状況は変更される可能性があるため、正確な情報は勤務先や各公的機関の公式発表もご確認ください。
まとめ
看護師が給与を上げる方法には、今の職場でできる工夫(夜勤回数の見直し、役職への挑戦、資格・専門性の活用、手当の確認)と、転職によって条件のよい勤務先を探す方法があります。どちらの方法にも、必ず給与が上がるという保証はありません。まずは自分の給与明細を確認し、今の給与がどのくらいの水準にあるかを把握したうえで、今の職場で見直せる点と、転職によって比較したい条件を整理してみましょう。転職を検討する場合は、給与だけでなく夜勤・通勤・教育体制などもあわせて比較することをおすすめします。