精神科認定看護師とは。資格要件・人数推移・費用を一次データで解説
「精神科認定看護師」という資格名を検索すると、日本看護協会の認定看護師制度の話だと思ってしまう方も多いのではないでしょうか。実は精神科認定看護師は、日本看護協会とは別の団体が独自に運営する資格です。この記事では、一次情報をもとに資格の位置づけ、取得要件、全国の人数推移、費用を整理し、転職を検討する際に押さえておきたいポイントを解説します。

精神科認定看護師とは。日本看護協会の認定看護師とは別の資格
精神科認定看護師は、**一般社団法人日本精神科看護協会(日精看)**が1995年に創設し、独自に運営している認定資格です。日精看によると、精神科の看護領域において優れた看護能力・知識を有する者として位置づけられており、診療報酬の算定対象となる職種でもあります。
ここで注意したいのが、日本看護協会(JNA)が運営する「認定看護師」制度には、実は「精神科看護」という名称の分野が存在しないという点です。JNAの認定看護師はA課程21分野・B課程19分野で構成されていますが、精神科領域を専門の分野名としては掲げていません。JNAの資格で精神科領域に最も近いのは、専門看護師(CNS)の14分野の一つである「精神看護」です。専門看護師制度全般については専門看護師(CNS)の転職。資格要件・給料相場を日本看護協会データで解説で詳しく解説しています。
つまり「精神科認定看護師」という名称の資格は、JNAの認定看護師・専門看護師とは別に、日精看が独自の審査基準・教育課程で運営している資格だということです。転職エージェントや採用担当者に資格を伝える際は、「日精看認定の精神科認定看護師」であることを明確に伝えるとよいでしょう。
資格取得要件。実務経験5年以上、うち精神科看護3年以上
日精看の公式情報によると、精神科認定看護師の受講資格審査を受けるためには、主に次の要件を満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 看護師免許 | 日本の看護師免許を取得していること |
| 実務経験 | 看護師資格取得後、通算5年以上の看護実務経験。うち通算3年以上は精神科看護の実務経験 |
| 受講資格審査 | 教育課程を受講する前に、出願要項に基づく適格性の審査を受ける |
| 教育課程 | 集合研修・オンデマンド配信・ライブ配信等を組み合わせた教育課程を修了(期間・時間数は年度により異なるため、最新のガイドブックで要確認) |
| 認定試験 | 教育課程修了後に認定試験を受験 |
| 資格更新 | 一定期間ごとに更新審査が必要 |
実務経験の要件(通算5年以上、うち専門分野3年以上)は、JNAの認定看護師・専門看護師と共通した考え方になっている点も参考になります。ただし審査基準・教育課程の内容は日精看独自のものであるため、詳細は必ず日精看公式のガイドブック・出願要項で確認してください。
全国の人数推移と直近の認定試験結果
日精看が公表している情報によると、精神科認定看護師の登録者数・試験結果は次のように推移しています。
| 時点 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年度(2024年度) | 全国の登録者数923名 |
| 第29回認定試験(2025年2月実施、審査2025年3月7日) | 受験者65人・合格者45人(合格率69.2%) |
| 2025年の更新審査 | 申請者213人・合格者213人(全員合格) |
看護職全体の就業者数(厚生労働省調べで約169万人、2022年末時点)と比較すると、精神科認定看護師は現時点でごく少数にとどまる資格です。一方で、認定試験・更新審査とも継続的に実施されており、資格として一定の需要が続いていることがうかがえます。
費用の目安。日精看会員で総額876,480円
資格取得には、受講資格審査から登録まで複数の段階で費用が発生します。日精看会員価格の目安は次のとおりです(2024年11月時点の複数の紹介記事で確認できた金額)。
| 項目 | 費用(会員価格の目安) |
|---|---|
| 受講資格審査 | 22,000円 |
| 教育課程受講料 | 766,480円 |
| 修了試験 | 22,000円 |
| 認定試験 | 44,000円 |
| 登録料 | 22,000円 |
| 合計 | 876,480円 |
非会員の場合はこれより高額になるとされています。会場までの交通費・宿泊費、就学期間中の勤務調整に伴う収入減も別途発生するため、資格取得を目指す場合は、勤務先の研修支援制度・休職制度の有無もあわせて確認しておくとよいでしょう。費用の詳細・最新の金額は、日精看公式のガイドブック・出願要項で必ず確認してください。
給料・処遇について。専門看護師のような公的な処遇調査は現時点で見当たらない
看護師全体の給料水準としては、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」による看護師の平均年収は約519万7,000円(平均年齢41.2歳、平均勤続年数9.4年)となっています。看護師の給料相場全般については気になる看護師の平均年収大公開!あなたは平均より安いかももあわせてご覧ください。
ただし、専門看護師・JNA認定看護師については日本看護協会による「評価・処遇に関する調査」(資格手当の支給状況等)が公表されている一方、日精看が独自に運営する精神科認定看護師については、同様の全国規模の処遇調査は今回の調査時点で確認できませんでした。資格手当の有無・金額は勤務先によって差が大きいと考えられるため、転職を検討する際は、資格手当の有無を含めた総支給額ベースで求人ごとに個別に確認することをおすすめします。
転職で押さえておきたいポイント
資格の名称・運営団体を正確に伝える
前述のとおり、精神科認定看護師はJNAではなく日精看が運営する資格です。転職サイトへの登録時や面接時には、資格の正式名称と運営団体(日本精神科看護協会)を正確に伝え、認識のズレが生じないようにしましょう。
訪問看護など人手不足の領域は採用ニーズが高まりやすい
看護職全体で見ると、2024年度の有効求人倍率は2.51倍と10年ぶりの高水準にあり、特に訪問看護ステーションでは4.54倍と人材確保が難しい状況が続いています。精神科領域でも、地域移行支援や訪問看護のニーズが高まっており、精神科認定看護師の専門性を活かせる場面は今後も広がる可能性があります。詳しいデータは看護師の有効求人倍率は2.51倍。データで読み解く「今が売り手市場」の理由で解説しています。
資格を活かせる役割かを面接で確認する
配属先によっては、資格を持っていても一般の看護師と同じ業務のみを求められ、専門性を発揮する機会が少ないケースもあります。内定を承諾する前に、精神科認定看護師としてどのような役割(退院支援、他職種連携、後輩育成など)が期待されているかを具体的に確認しておくとよいでしょう。転職活動全体の進め方は看護師転職の流れ完全ガイド、後悔しないための注意点は看護師の転職で後悔しないためにも参考にしてください。精神科求人全般の探し方・注意点は気になる精神科求人!知っておきたいポイントと注意点!でも紹介しています。
この記事の主な情報源
- 日精看オンライン「精神科認定看護師制度」
- 日精看オンライン「精神科認定看護師全国データ」
- 医療介護CBnews「精神科認定看護師、新たに45人が合格」(2025年)
- 公益社団法人日本看護協会「認定看護師」
- 公益社団法人日本看護協会「専門看護師」
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
制度・統計・費用は今後更新される可能性があるため、最新の情報は日精看・日本看護協会の公式ページもあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. 精神科認定看護師は日本看護協会が認定する資格ですか?
いいえ。精神科認定看護師は、日本看護協会(JNA)とは別の団体である一般社団法人日本精神科看護協会(日精看)が独自に運営する資格です。JNAの認定看護師制度には「精神科看護」という名称の分野は無く、JNAの資格で精神科領域に近いのは専門看護師(CNS)の「精神看護」分野になります。
Q. 精神科認定看護師になるための実務経験は何年必要ですか?
日精看の情報によると、看護師資格取得後の通算実務経験5年以上、うち通算3年以上は精神科看護の実務経験が必要とされています。詳細な出願要件は日精看公式の出願要項で確認してください。
Q. 精神科認定看護師の資格取得にはいくらかかりますか?
日精看会員価格の目安として、受講資格審査から登録料まで合計876,480円程度とする紹介記事が複数確認できました。非会員はこれより高額になります。最新の金額は日精看公式のガイドブックで確認してください。
Q. 精神科認定看護師の資格手当はもらえますか?
専門看護師・JNA認定看護師については日本看護協会の処遇調査が公表されていますが、精神科認定看護師については同様の全国規模の処遇調査は確認できませんでした。手当の有無・金額は勤務先によって異なるため、転職時に求人ごとに個別確認することをおすすめします。
まとめ
精神科認定看護師は、日本看護協会ではなく日本精神科看護協会(日精看)が独自に運営する資格で、実務経験5年以上(うち精神科看護3年以上)などの要件を満たしたうえで、教育課程・認定試験を経て取得します。令和6年度時点の全国登録者数は923名、直近の第29回試験の合格率は69.2%と、着実に資格取得者が増えている状況です。資格手当等の全国規模の処遇調査は現時点で見当たらないため、転職を検討する際は求人ごとの待遇を個別に確認しながら、資格を正しく伝えて自分に合った転職先を見極めていきましょう。