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患者さんのエコー画像を見た事はありますか。
技師や医師が書いたエコー検査の結果だけを見て満足していませんか。
近年、エコーの小型化が進んでおり、持ち歩いている医師が増えています。
看護師でも扱いやすくなっており、今後看護師もエコーを活用しようという動きがあります。
現在は、看護師の勘や経験で看護技術を行っていますが、エコーを用いることで、患者さんの身体の状態を画像により判断できるため、より根拠に基づいた、安全で確実な看護技術を提供することができます。
エコーはベッドサイドで行うことができ、患者さんへの侵襲も少ないことから、看護師が扱いやすい画像診断装置です。
医療行為として看護師によるエコー検査は法的にも認められています。
看護師用のエコーの開発も進んでいるようです。
看護師によるエコー検査は下記に活用することができます。
- 褥瘡ケアにおいて肉眼では判断が困難な皮下組織の損傷の程度の評価
- 静脈穿刺時の血管の位置、太さ、深さの確認
- 嚥下機能の評価
- 脱水の評価
上記以外にも活用法はいっぱいあります。
看護師がエコーを使いこなす時代がすぐにくるかもしれません。
そこで、今回はエコー検査の基礎知識をお伝えしたいと思います。
エコー検査とは
エコー検査(超音波検査)とは、超音波(人間の耳には聞こえない高い音)を対象物に当てて、その反射を映像化することで、対象物の内部の状態を調査することができる画像検査法です。
基本的に検査による痛みがなく、人体への影響もないため何度も繰り返し行うことができます。
エコー機器の特徴
エコー機器は、エコー像を映し出すモニターと各種スイッチがある本体と、患者さんの身体に直接当ててエコーを出すプローブの3つからできています。
プローブは3種類あり、対象物によって使い分け使用されます。
・コンベックス型(convex)放射状に超音波を放出します。主に体表からの腹部のエコー検査に使用します。接地面が大きく、広角の観察ができるのが特徴です。
・セクタ型(sector)放射状に超音波を放出します。コンベックスと比べると狭角です。主に体表からの心臓や産婦人科の経膣エコー検査に使用します。
・リニア型(linear)直線に超音波を放出します。体表血管や甲状腺の評価に使用します。
エコー画像表示方法の種類
エコー検査には、主に下記の画像モードがあります。基本的にはBモード画像を使用します。
Bモード(断層)画像
プローブを動かしながらリアルタイムに画像を構成します。病変の大きさ、内部の構造を観察することができます。
Mモード画像
主に心臓の観察に用いられます。断面上のさらにある一直線上に注目し、そこでの音波反射の経時変化を画像化する検査です。心臓の弁や心筋の動きなど、動きのある部位を時系列で観察できます。
ドプラ(カラー、パスル)画像
調べたい場所の血流速度や方向など血流の状態を観察するための方法です。カラードプラは血流に反射した信号をもとに血管に色をつけて表示し、血流の方向や血流の速さを調べます。動脈、静脈の鑑別もできます。
エコー検査の種類
腹部エコー検査
肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、子宮、卵巣、前立腺、膀胱などの腹部、下腹部の臓器や妊娠中の胎児の評価を行います。
各臓器の腫瘍、脂肪肝、胆石、腎結石などの疾患を見つけることができます。また、妊娠中の胎児の観察もできます。
心臓エコー検査
心臓、大血管の評価を行います。心臓の大きさ、心筋の厚さや動き、弁の状態や動きを調べます。カラードプラで、血液の流れに逆流や乱れがないかも調べることができます。
心筋梗塞、心肥大、心不全の程度、弁膜症、心タンポナーデなどが分かります。
頸部エコー検査
頸部の甲状腺、副甲状腺、頸動脈、頚静脈の評価を行います。
バセドウ病、甲状腺炎の発見、動脈硬化の状態を見ることができます。
乳房エコー検査
乳房の評価を行います。腫瘍の有る無し、乳管内病変などの診断を行う事ができます。
血管エコー検査
腹腔内の大動脈、大静脈や、上下肢の動脈、静脈の評価を行います。
動脈瘤や血栓の有無の診断ができます。
経膣エコー検査
膣内よりアプローチして、子宮、卵巣などの女性期の評価を行います。
運動器エコー検査
体表よりアプローチして、筋、腱などの形態診断と機能診断を行います。
その他のエコー検査
FAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)
救急の現場で用いられる迅速超音波検査方法の名称です。
外傷患者の場合、致死的な臓器損傷の有無を即座に評価する必要があるため、心嚢、左右肋間、モリソン窩、ダグラス窩、膵臓周囲の6カ所をすばやくエコー検査を施行し、腹腔内出血がないことを確認することです。
緊急手術が必要かどうかの評価ができます。
まとめ
エコー検査の基礎知識をご紹介しました。
画像の診断はとても難しいので、医師がエコー検査を行っている時に見学したり、たくさんの画像を見たりして、少しずつエコー画像を見ることに慣れていきましょう。
フィジカルアセスメントにエコー画像による評価を加えることで、より根拠のあるアセスメントができます。
エコー検査ができる看護師を目指して頑張りましょう。