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刺青と聞くと、「やくざ」のイメージが強かったですが、近頃の若い人はファッション感覚で、刺青、タトウーを入れる人がおり、刺青に対しての抵抗がなくなってきています。
海外では刺青、タトウーを入れている人はたくさんいます。外国人観光客、日本に住んでいる外国人の増加に伴い、刺青、タトウーが入っている人を見かけることは多くなりました。
刺青があっても、一般企業に就職できることもあります。しかし、採用する人達は自分よりも年上であることがほとんどであり、刺青を受け入れてもらえないことが多いです。就職の時に不利になり、就職活動に悩むことがあるかと思います。
では、看護師の世界ではどうでしょう。刺青があっても看護師になれるのでしょうか。
刺青の歴史、現代の刺青に対する意見、医療現場での刺青の実態をお伝えしたいと思います。
刺青の歴史
刺青とは、針・刃物・骨片などで皮膚に傷をつけ、その傷に墨汁、朱、酸化鉄などの色素を入れ着色し、文様、文字、絵柄などを描かれたものです。
日本の刺青の歴史は、縄文時代までさかのぼると考えられています。
身分証明書などの自分の地位や身分を証明するものがない時代において、刺青のデザインやサイズによって、その身分を証明していたとも言われています。その他にも、タトウーを入れる目的は6つあります。
- 漁師の身元判定のため(海難事故など)
- 犯罪者への刑罰と識別(罪のレベルなど)
- ファッション(ヒッピー文化の一つ)
- 性的装飾(性的興奮を得るため)
- 美容目的(皮膚の疾患などを隠すため)
- 組織帰属の証(暴力団関係者など)
など、様々な歴史、文化があります。
江戸時代に罪をおかした人に犯罪の印として刺青を入れており、この背景から刺青に対して悪いイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。また、日本だと刺青=暴力団関係者とイメージも根強いです。
近頃の刺青、タトゥーに対しての世の中の意見はこう!
否定派の意見
・暴力団体を連想させるため、怖い
・感染症など何かの病気を持っていそう
(刺青で感染をする可能性が高いのは、C型肝炎、B型肝炎、エイズです。全て、血液を介して感染します。刺青に使用する機材が完全な消毒がされている、使い捨ての機材を使用している場合は、感染リスクは少ないです。全ては彫り師次第です。)
・温泉に入れない
・親にもらった大事な身体に傷をつけたくない
・汚い
肯定派の意見
・お洒落だから
・かっこいいから
・個性を出せるから
・自分は入れないけど、個人の自由だから他の人がいれていても気にならない
などの意見があります。若い人の間ではファッションとして気軽に取り入れられており、お洒落として流行っています。しかし、日本全体では刺青否定派の方が圧倒的に多いです。
医療現場での刺青の実態
刺青があっても看護師になれるのか…。実際は、なれます。
看護師の刺青は、法律では規制されていません。実際、刺青のある看護師はいます。
私が知っている中でも4人はいます。4人とも、背中や胸部などの服でかくれる位置に刺青があり、腕や足に入れている人はいませんでした。
身体検査も年に一度しかないため、その日だけ刺青用のファンデーションを塗って、隠していました。
その他で身体チェックなどもないため、刺青が入っていることが知られることはほとんどありません。更衣室で着替える時に刺青を見られる可能性があるため、見えないよう白衣の下に肌着を着るなどして、白衣を脱いでも刺青が隠れるよう工夫をしていました。
では、法律では規制されていないのに、なぜ、刺青を隠さなければならないのか。
看護師の倫理に欠けるからだと考えられます。世間一般的に刺青はメージが悪く、モラルに欠けるような人に看護してもらいたくない、命を預けられないと考える患者さんがいるからです。
看護師の倫理でも「看護者は、社会の人々の信頼を得るように、個人としての品行を常に高く維持する。」と唱えられています。
「個人としての品行を高く」ということは、世間でイメージの悪い刺青は許容され難いです。そして、病院側としてもモラルが欠けている人を雇う気にはなりませんし、病院の理念にそぐわないからという理由で不採用となる可能性が高いです。
もちろん、刺青があっても働ける病院もありますが、刺青があることで働ける場所が限られてしまいます。
刺青は消せるのか
若気の至りで刺青を入れてしまったが、今は後悔している、消したいという人は多くいます。刺青は除去できます。刺青除去には4つの方法があります。
①レーザー
大きさや濃さによって、数週間おきに数回照射を繰り返します。
②切除縫縮
刺青部を切開し、1本の線に縫合します。大きい刺青は数回にわけて施術します。
③剥削
皮膚表面を専用の機械で削る方法です。
④皮膚移植
傷跡が目立たない部分の皮膚を切り取り、刺青部分に移植する方法です。
刺青の除去には時間とお金がかかります。刺青を入れるより除去する方が高額です。
まとめ
刺青に対して、現代は昔よりは認可されてきていますが、まだまだイメージは悪いです。
刺青があっても看護師になることは可能です。
しかし、看護師の刺青を認めていない病院はほとんどであるため、刺青を隠さなければなりませんし、バレたらどうしようという不安な思いを持ちながら仕事をしなければなりません。
刺青を入れる、入れないは個人の自由です。
しかし、刺青に対する世間のイメージ、今後の人生に制限が加わるかもしれないということをしっかり理解した上で、刺青を入れる必要があると思います。