看護師であれば、一度は立ち会った事がある看取り。
多くの看護師が、この看取りの看護で不安を抱えていると思います。
亡くなるのを黙ってみている事が看取りではありません。
また、病院で管を沢山付けて生き永らえさせる事も違っています。
現在の看取りとはどのようになっているのか?
今回はこの看取りについて、少しでも不安を解消できるように事前に知っておくべき役割やポイントをご紹介します。
あなたの死生観が変わるかもしれません。
看取り看護とは?
これから、亡くなる人の苦痛を緩和し、安らかで落ち着いた最期を迎えられるように、本人や家族に関わることを言います。
本人の苦痛が無いことが大前提です。
また、ご家族が死に向かう本人を受け入れられるように支援する事も大事な看取り看護の一つです。
看取り看護のポイント
看取りには、様々な段階があります。その時期によって、看護の方法が異なります。
適応期
この時期には、医師があらゆるデータを基に、医療を施しても死から免れることはできないと判断し、初めて死を迎えるために、本人、家族、関係者が動き出す時期です。
一番大事なのは本人の要望です。話を聞かずに進行してしまうと、望まない形で亡くなることになってしまうので、非常に重要な確認となります。
また、家族へのアプローチも必要です。どういう経過を辿るのか説明しイメージしやすいように配慮します。
家族の思いはどうなのか、しっかりと確認を行います。
またキーパーソンを決めたり、他の家族と意見統一をしてもらったりなど、説明することは沢山あります。
一緒に考えていくという姿勢を常に持って、接していくように心掛けましょう。
また病院や施設など、亡くなる場所によって設備もできることも違ってきます。
そこの確認をし、手順なども決めておいた方がいいでしょう。
安定期
この時期には、本人の状態を見つつ、穏やかに過ごせるように看護していきます。
外出や外泊を勧めたり、その間のサービスを調整したりする業務となります。
また家族の不安を聞く時間を多くとり、少しでも安心していただけるように配慮します。
不安定期・低下期
この時期では、段々と体が死を迎えるために準備をしだす時期です。
体調の変化が誰の目にも明らかに起こってきます。きちんと観察して、苦痛が最小限になるように医師に相談をします。
また、体が衰退して行く姿を見た家族は、動揺し始める時期です。
家族とよく話し合って、意向の確認を小まめに行っていきます。
家族の心は揺れるものなので、決めていた通りにはならない事があります。
そうした要望にも臨機応変に対応できる環境を整えておきましょう。
看取り期
もう少しで、死を迎える時期になります。亡くなった時の具体的な連絡先や、亡くなった後どうするか?会わせておきたい人などはいないか?亡くなった後、葬儀会社の手配はどうなっているのか?などの確認や調整に入ります。
また、昔は酸素や点滴、IVHなど様々な治療をするのが当たりまえでしたが、最近では、酸素をすると脳内麻薬が分泌されず、かえって苦しい思いをする。点滴を入れると、吸収できずにむくみに変わったり、痰が多くなったりするので、酸素や点滴をしないという治療が主流になっています。
昔と比べると看取りの方法が変わってきています。看護師は、患者が口呼吸になるために、口腔内の乾燥に注意し小まめに口腔清拭を行い、室内の湿度や温度、採光などに注意し、静かで過ごしやすい環境整備を行います。
また、どうしてそのような看護をするか、細かく説明し、家族もケアに参加できるように配慮します。
看取り
亡くなった後の看護になります。ご遺体を安置したり、死亡診断書の準備をしたり、ご家族に葬儀屋さんへ連絡をするように促したり、希望があれば死後処置を行ったりします。
ご家族は取り乱していることが多いので、タイミングを見て、何をしたらいいかアドバイスできるようにしましょう。
看取り後
ご家族に対しての看護になります。最近では、亡くなったらおしまいではなく、ご家族を訪問して、看取りの時の話や、ご本人のお話などをします。
身近な人の死を乗り越えられているかなど、ご家族がきちんと心の整理ができているか確認する場を設けます。
このようにご家族のケアに力を入れている病院も多くなってきています。
また、職員が葬儀に参列する場合もあります。
まとめ
看取りの話をしましたが、この他に、施設や自宅など場所によって様々な対応をしなくてはいけません。
ただ言えることは、昔とは看取りの方法もかなり変わってきているという事です。
昔のやり方で看取りを行おうとすると、クレームにつながったり、本人に苦痛を与えてしまったりする事もありますので注意が必要です。