採血が苦手な看護師さん、どうやったら上手くできるか悩んでいませんか。
採血の後、患者さんの腕に内出血が、採血が下手で患者さんから苦情がきた、迷惑をかけてしまったなどの経験はありませんか。
一度、苦手意識が出てしまうと、採血をするたびに緊張して、そしてまた失敗するという悪循環に陥ってしまいます。
採血が苦手だと、患者さんに苦痛を与えてしまいます。ぜひ、苦手意識を克服し、自信を持って採血をできるように、採血上手いね、と褒めてもらえる看護師になってほしいと思います。
採血の血管選び、刺し方、内出血しないポイントなどをまとめました。ぜひ、参考にしてください。
採血をする血管の部位、選び方
まず、採血を成功させるためにとても重要なのが血管選びです。
これで、上手に採血ができるかどうかがほぼ決まります。
では、採血に最適な血管とはどのような血管なのでしょうか。
次の3点が血管選びのポイントです。
- 弾力性がある
- 太い
- 蛇行しておらず、まっすぐ
たとえ、目で血管の走行が見えなくても、触ってみて弾力性があり、太い血管を選択してください。
目で見るのではなく、触って血管を選ぶことがとても大切です。
採血をする部位は、基本的には前腕屈側の肘正中皮静脈が第一選択になります。
肘正中皮静脈は上記3つの条件が揃っており、またこの血管の近くには神経も少ないため、神経損傷を起こすことも稀です。
もし、肘正中皮静脈が怒張しない場合、第二選択は前腕の橈側皮静脈や前腕尺側皮静脈、前腕皮静脈などになります。
この周辺には神経があるため、穿刺する際は神経損傷を起こしていないか、十分注意してください。
それでも採血に適した血管が見つからない場合は、手背や足背の静脈を選択することになります。
入院中の患者さんはお年寄りが多く、疾患によっては血管が見えにくかったり、脱水気味だったりと良い血管を捜すのがとても困難です。
どうしても見つからない場合は次のことを試して血管を目立たせてみましょう。
腕を温める
血液循環をよくすることで血管が拡張し、見えやすくなることがあります。
駆血帯を閉めて、末梢から中枢に向かってマッサージしてみる
これも血液循環をよくすることで、血管が浮き出てくることがあります。
腕を心臓の位置より下げてもらう
腕に血液が集まりやすくなるので、血管の怒張を促すことができます。
では、次に採血をするのに選んではいけない血管があります。以下の注意点を意識しておいてください。
静脈注射中の血管
血液に薬剤が混ざっているので、検査結果に影響がでます。静脈注射中の血管の末梢側だと理論的には血液に薬剤が混ざっていることはないのですが、他に血管があるのであれば、避けた方がベターです。
半側麻痺側の血管
血液循環が悪いので失敗する確率が高いです。
シャントを増設している場合、シャント側の血管
シャントを潰してしまう可能性があるからです。
乳がんの手術後の患者さんの手術側の腕
特にリンパ腺を摘出している場合は禁忌です。感染に対する抵抗力が落ちているため、穿刺部から菌が入るとなかなか治りません。
他にも採血の項目によっては採取するタイミングも考えないといけません。
例えば、項目内に血糖があるなら、食前に採取する必要がありますし、起床時などという指示があるものもあります。
指示を確認してから採血をするようにしてください。
採血の看護技術・方法
①必要物品を用意します。
- シリンジもしくは真空管ホルダー
- 21~23Gの採血針(真空管ホルダーの場合、専用の針)
- ディスポーサプル手袋
- アルコール綿(アレルギーの有無を確認し、ある場合代わりの消毒液を準備する)
- 駆血帯
- 採血管
- 針捨てボックス
- 止血のためのテープ
汚染や、失敗した時の事を考えて、予備の針、シリンジ、アルコール綿を余分に用意しておくと安心ですし、物品を取りに行っている時間の短縮になります。
②患者さんに採血の必要性、目的を説明し、体位を整える。
患者さんに採血の必要性を説明して、同意を得ます。
患者さんにフルネームを名乗ってもらい、採血管の名前と一致しているか確認します。
その後、採血がしやすく、患者さんにも苦痛のないよう体位を整えます。
③採血の準備をする
シリンジに針を、真空管ホルダーの場合は専用の針を清潔操作で装着します。
採血管を取りやすいように並べておきます。特に真空管採血の場合は採血管をスムーズに装着できるように手元においておくことが重要です。
右利きの人は右側に準備しておくと採血管が装着しやすいと思います。
そして、抜針後にすぐ止血ができるよう、テープを切っておきます。
④血管を選択する
前述の採血をする血管の部位、選び方を参考に血管を選びます。
⑤ディスポーサプル手袋を装着し、駆血帯をする
穿刺予定部から7~10cmくらい中枢側に駆血帯を巻きます。
苦痛を与えないためにも、巻いた後はできるだけ早く採血を終わらせましょう。
⑥消毒する
アルコール綿で、穿刺部を中心に円を描くように外側に向けて消毒します。
消毒液が乾かないままで採血すると消毒の効果が得られませんので、乾くまで待ちましょう。
⑦穿刺する
穿刺部が動かないように固定させます。そして利き手ではない側の手で、血管が逃げないよう穿刺部の少し下の皮膚を末梢側に引きます。
利き手で針を持ち、皮膚と針を15~20度の角度に保ち、穿刺します。
穿刺後、少し角度を緩め、2~3cmほど針を先に進めます。
穿刺時に痺れの有無を確認します。痺れがある場合、神経損傷の恐れがあるのですぐに抜針しましょう。
そして、穿刺したら途中で止まらず、一気に行いましょう。ゆっくり穿刺するとより痛みを感じやすいです。
⑧採血をします
針を穿刺したら、利き手と反対側の手で針を持ち、動かさないよう固定します。
利き手でシリンジを引く、もしくは採血管を真空管に装着します。
⑨駆血帯を外す
採血が終わったら、駆血帯を外します。駆血帯を外す前に抜針すると、血液が流出します。
⑩抜針して止血する
抜針して、穿刺部をアルコール綿で押さえて止血します。この時しっかりと押さえることで、内出血を防げます。
止血が確認できたらテープでアルコール綿を止めます。
使用後の針はすぐに針捨てボックスに捨てましょう。
まとめ
採血は看護師にとって必要不可欠な看護技術です。
採血の上手下手は慣れだと思います。失敗を恐れていてはいつまでも上達しません。
採血を成功させるためには血管選びがとても重要です。
血管の位置は人によって微妙に異なりますが、基本的な位置は同じです。
血管の位置も頭にいれ、そして実際に患者さんに触れて最適な血管を見つけましょう。
初めから採血が上手な看護師はいません。落ち着いて、リラックスして採血を行いましょう。