導尿は患者さんが苦痛を伴う医療処置の一つです。
手技に手間取っていると、患者さんの苦痛な時間は長くなり、身体的にも負担になってしまいます。
患者さんの苦痛を伴う作業という事で、導尿は苦手という看護師の方も多いと思います。
今回は導尿時のポイント、注意点をご紹介します。
導尿をする時の看護のポイント
1、基本的看護知識を知る
まず、基本的看護知識をおさらいします。
膀胱の容量は成人で500ml程度です。男性の方が女性よりも膀胱容量が大きい特徴があります。
尿量に関しては、成人の場合、1回200ml前後と言われています。
個人差はありますが、1日あたり1500ml前後です。
1日の尿量が、2500ml以上で多尿、400ml以下で乏尿、100ml以下で無尿と言います。
導尿は、排尿障害がある場合に行います。導尿には俗にバルンと言って、管を入れたままバッグに蓄尿する持続的導尿と、一時的にネラトンカテーテルを挿入して排尿する間欠的導尿があります。
2、導尿の目安
患者さんの尿量にもよりますが、大体4~6時間で膀胱に溜まりますので、6時間を目安に導尿を行うことが多いです。
また、併せて腹部の張りはどうか?行動に落ち着きがなくなっていないか?血圧は上昇していないか?などを観察します。
3、導尿のポイント
適切なカテーテルのサイズを選びましょう。ネラトンカテーテルであれば、12Frのものが一般的です。
尿の性状にもよりますが、感染を起こしてドロドロした尿であれば詰まってしまうこともある為、14Frを選びます。
また、バルンカテーテルの場合は、長い間使用していると、尿道が太くなり尿漏れを起こすこともあり、太い物へと変更していきますが、初めは12Frの挿入が良いでしょう。
挿入時のコツ
男性への挿入の場合、前立腺肥大のある人は、入りづらく、無理やり入れると出血のリスクも高くなるので注意が必要です。
陰茎を上に持ち上げ、右か左にたおして入れると入りやすくなります。
また、入らないと感じた場合には無理せず医師に相談しましょう。
女性の場合は尿道口が解りずらい事が多いです。しっかり会陰部を広げて、尿道口が解るように工夫しましょう。
暗くて見えずらい事もありますので、ライトなどで見えやすいようにすることも必要です。
導尿時の注意点
腹部緊満があり導尿する場合には一気に尿を出してしまうと血圧が下がって意識を失うこともあります。
途中で少し休憩を入れながら、血圧に注意して導尿を行いましょう。
滅菌操作には十分に注意しましょう。昔は尿道口を消毒してから管を挿入しましたが、現在消毒はしないようになっています。
ただ、カテーテルは無菌操作で挿入するようにしないと、菌が入り感染のリスクが高くなります。
感染防止を意識して手技を行うことが必要です。
挿入の長さは、男性が18~22センチ必要です。女性は4センチ~6センチ必要になります。
個人差がありますので、ある程度入ったら、ゆっくりと挿入し、尿の流出があるか確認しましょう。
バルンの場合はカフを入れるのですが、尿道内でカフを膨らましてしまうと、尿道を傷つけたり破裂したりと危険ですので十分注意します。
また、尿漏れがある場合は、カフをいったん抜いて再度入れなおすと止まる事があります。
カフの確認は定期的に行いましょう。バルンでカフを膨らませたあとは、バルンをやさしく引いて隙間が無いようにします。
そうすることで膀胱内でカテーテルが安定します。
まとめ
導尿のポイントをおさらいしましたが、このほかにプライバシーには十分配慮してください。
バスタオルで隠す、カーテンをきちんと閉めるなど、ちょっとした配慮をすることで、患者さんの不安を少しでも解消することが出来るでしょう。
また、挿入に不安な時には、無理をせずに先輩や医師に相談し、そのまま続けない事が重要です。
あくまで患者さんの安全を第一優先に考えて行動しましょう。
また、導尿を必要としている患者が認知症などの場合、抵抗される事もしばしばあります。
その場合には一人で行わず、適切な人数で導尿にあたってください。
手技を何度もシュミレーションして、導尿に対する苦手意識を克服していきましょう。